シルク


 2010.12.8  オリエンタルな魅力 【シルク】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
フランスから日本への旅路。蚕の卵を手に入れるため、はるか極東の地へやってきたエルヴェの目から見た日本。まず19世紀にヨーロッパから日本へ渡るまでの想像を絶する旅路と、言葉の壁。日本で出合った美しい女に心惹かれるエルヴェだが、気の遠くなるような距離すらも凌駕する思いなのだろう。まず驚いたのは蚕の卵というのがそれほど高価で大金を生み出す物なのかということと、この時代の日本の隠された村で、なぜか英語がペラペラな人物がいるということだ。外国人から見た日本の不思議さと、日本人から見た外国人の奇妙さが表現されており、なおかつ日本の女性のオリエンタルな魅力を必要以上にアピールしている。ないと思うが、本作を見た外国人は、日本の女性がすべて美しいと錯覚しないだろうか。

■ストーリー

19世紀のフランス。若き軍人エルヴェは、美しいエレーヌと恋に落ち結婚する。幸せな新婚生活もつかの間、エルヴェは蚕の調達のため、遥か極東の地・日本へ旅立つことに。見たことも聞いたこともない異国の地へ、遠く険しい道のりを進んだエルヴェだったが、案内された小さな村で、取引相手の妻として仕える絹のような肌を持つ謎めいた少女に魅せられる。彼女を忘れられず、命を賭けて何度も日本へ渡るエルヴェ。そんな夫を静かに見守り、変わらぬ愛で彼の帰りを待ちわびるエレーヌ。ふたりの愛はどこに辿り着くのか・・・?エルヴェが最後の旅を終えたとき、一通の日本語の手紙が彼のもとに届くのだが・・・

■感想
蚕の卵というのはそれほど高価なもので、はるか極東の地へ命をかけて渡るほどの価値のあるものなのだろう。蚕の卵が手に入らないと、村すべてが飢え死にしてしまうほど多大な影響力がある。それだけに命を賭ける価値もある。外国人が日本の、それも隠された村にたどりつく。そこで出会う美しい女に恋をする。本国に残した美しい奥さんか、それとも極東の地で出合った謎めいた女なのか。秘境で出合い、心細さと背徳感から恋に落ちたようにも思えるが、それは考えすぎだろうか。意思の疎通もままならない場所で、文化も風習も違う土地での出会いというのは、何割り増しか美化されるのだろう。

フランスから日本へ渡るというのは、今とは比べものにならないほど辛く苦しい旅路だ。それを理解しながら、二度目三度目の旅を決意させるほどの魅力が日本に、いや女にあったということだろう。本国では子供に恵まれないという部分と、旅での高揚感からか、見ず知らずの土地でのお遊びではなく、真実の愛に悩み苦しむエルヴェの苦悩が伝わってきた。シルクロードを渡るということが、命がけということは頭では理解しているが、作中ですんなりと日本に到着してしまうので、苦労の何割かしか伝わってこなかった。

外国人から見た日本の女性とは、神秘的で奇妙な美しさと感じるのだろうか。隠された村で、鉄砲を売りにきたオランダ人といい、すべての外国人が女の魅力の虜となっている。この村がいったいどんな存在なのか本作だけでは伺い知れないが、この時代には存在したのだろう。日本人から見ると、髪型がおかしかったり、英語がペラペラだったりとおかしな部分は目に付くが、それらに目をつむれば、それなりに楽しめる。行き着く先が日本ということで、注目度は若干水増しされているにしても、なかなかよかった。

全体を通して暗く陰鬱な雰囲気だがよかった。



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