レミーのおいしいレストラン


 2008.12.15  レミーはもはや人間だ 【レミーのおいしいレストラン】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
海外のCGアニメというのはだいたいが気持ち悪い。特に人物がCG独特のちょっと怖い表情になっていたりと、その辺はいつものディズニーアニメと変わらない。日本のジブリアニメに慣れた人にとっては、やはり違和感はあるだろう。しかし、本作はネズミが主人公ということで、CGのリアルさが微妙に良い方向へ作用している。ネズミの毛ひとつひとつが動くさまは、CGの効果だろう。人間の表情にしても、あえて登場人物たちを、デフォルメした顔に描いているために違和感は少ない。レストランには天敵であるはずのネズミをレストランと融合させる。そのとっぴな発想と、ネズミたちの動きの面白さが、本作を良作に仕上げている。

■ストーリー

料理が大好きなネズミのレミーは、一流レストランのシェフになることを夢見ていた。ある日、姿を家の主人に見つけられ、一族は巣を追われることに。レミーは家族とはぐれてしまい、ひとりぼっちでパリの一軒のレストランにたどり着く。そこはレミーが尊敬するフレンチ料理人、グストーのレストランだった!そのキッチンでは、見習いシェフのリングイニがヘマをして、スープを台無しにしてしまう。湧き上がる情熱を抑えきれずキッチンに足を踏み入れたレミーは、夢中になってスープを作り直すが、それをリングイニに目撃されてしまった。料理の才能が無いことを悩んでいたリングイニは、この小さな天才シェフが人間の言葉を理解してると知り、とんでもないアイデアを思いつく。「二人で、パリ一番のシェフを目指すんだ!」 シェフを夢見るネズミと、料理が苦手な見習いシェフ ―その出会いはやがて、フランス料理界をも揺るがす“大事件”を巻き起こすのだった・・・。

■感想
料理大好きなネズミ。現実とファンタジーを織り交ぜており、微妙に現実的なのが笑えてくる。料理をするネズミは存在しても、人間と話せるわけではない。グストーの本を読んで料理を勉強し、グストーのテレビ番組を見て学ぶのだが、リングイニとコミュニケーションはとれない。この際だから、話ができてもまったく違和感ないのだが、変なところだけ現実的だ。すでにばい菌たっぷりのネズミがシェフをする時点で面白いのだが、そのネズミが手を汚さないように二本足で歩くとか、素材の味を生かすなんてことが普通に描かれている。ネズミの味覚と人間の味覚がまったく同じだということにも違和感を感じないが、本当はおかしいはずだ。

っなんて、大人なつまらない感想を言っても仕方がない。本作は、いつネズミが料理しているとばれるのかというハラハラドキドキな気持ちと、ちょっとしたシンデレラストーリー的な物語を存分に楽しむべき作品だろう。良くある子供向けのアニメっぽく、何か教訓めいたことが描かれるわけではなく、最後までファンタジーあふれる結末となっている。最後はご都合主義的に、レミーが人間となり、自分のレストランを建てるなんてことにならなくてよかったと思っている。

レミー以外のネズミたちが実は良い味をだしている。その辺に落ちているゴミを食べる生活。味を求めるのではなく、ただ腹が膨れればそれでよいというようなネズミたち。人間からすれば、ネズミなんてしょせんその程度にしか見えていないのだろう。レミーがシェフとしてけなげに働き、自分をないがしろにされたと気づくと、ちょっと傷ついたりもする。これではまるっきり人間と同じではないか。見方を変えれば、レミーはおおっぴらに表を歩けない、日陰の人間が隠れてシェフをやる。そんな物語にすら見えてきた。つまり、後半では、レミーがネズミだということを忘れ、一人の人間のように見えてきたから不思議だ。

海外のCGアニメにしては違和感なく見ることができた。



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