プライドと偏見


 2009.8.15  いつの時代も婚活はすさまじい 【プライドと偏見】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
女の幸せは金持ちの男と結婚すること。それが当たり前の世界の中で、5人の娘がいるベネット家の物語。主役は女であり、男はある意味飾り物だ。資産家のビングリーとその友達であるダーシー。ビングリーは単純極まりないお坊ちゃまという感じだが、ダーシーは一癖も二癖もある。女の幸せを追い求めるベネット家とダーシーを比較すると、まるで現代の婚活に命をかける、いきおくれ寸前の女たちのように見えて仕方がなかった。ダーシーがどんな決断をするのか。エリザベスの真の思いは…。男目線で見ると、やはりどうしても玉の輿に乗るために必死になる女というイメージはぬぐいされない。巧妙な駆け引きの中で、結局ダーシーはまんまと罠にはまってしまったようにも見えたのは男目線だからだろうか。

■ストーリー

18世紀、女性に相続権がない時代のイギリス。女の幸せは豊かな財政の男性と結婚すること・・・。貧しくはないけれど、大金持ちでもないベネット家では、5人の娘たちが白馬にまたがったリッチな王子様を探しており、隣に越してきた金持ち・ビングリーの噂でもちきりだった。読書好きの次女エリザベスは、ダンスパーティーでビングリーの親友・ダーシーの高慢な態度に腹をたてるがダーシーも彼女の聡明さと金持ちへの偏見に苛立ちを覚える。いつしか互いが気になる二人だが誤解は解けないまま。やっと少し打ち解けるきっかけが掴めた二人だが、その頃、ベネット家の末娘の身に大事件が起こっていた!

■感想
貧しくもなく大金持ちでもない中流のベネット一家。父親がしみじみと語っていた言葉がとても印象的だった。「娘を五人を持つ苦労はわからないだろう」これが本作の全てをあらわしているようだ。娘しかいないベネット家の資産は、いとこの牧師にすべてささげられる。女たちは早く自分を養ってもらえる人を探さなければならない。それは親も同じ気持ちで、一人でも大金持ちに嫁ぐことができればという思いが伝わってきた。そんな厳しい状況の中、女たちは自分の賞味期限が切れる前にしっかりと男を捕まえようとする。

周りが結婚に熱を注ぐなか、エリザベスだけが余裕で求婚を断ったりもする。エリザベスの思いとしては、本当に愛した人としか結婚するつもりがないのだろう。家族や姉のことを考えると、資産を相続するいとこと結婚するのもありのはずだが、それは選ばない。いきおくれを恐れながらも、いい男を選ぼうとする。随分とわがままに感じてしまった。タイトルのプライドと偏見というのは、ダーシーのプライドとエリザベスのダーシーに対する偏見というのが一般的なのだろう。逆にエリザベスのプライドとダーシーのエリザベスに対する偏見のようにも感じてしまった。

結末に関してはある程度予想通りだった。ダーシーのいいなずけ云々の話が少し気になったが、エリザベスの思いとダーシーの考えは最後まで交差していないようにも感じられた。結局のところ、娘を早く玉の輿に乗せたいという母親の願いは、一部かなうこととなった。そんな女だらけの中で、一人ベネット家の大黒柱だけが正論を述べていた。娘たちのはしゃぎぶりに、関係者でありながら一歩引いた位置からすべてを俯瞰するように眺めるその姿。娘を嫁にやるということに、どんな感情もないように思わせときながら、実は一番娘たちの幸せを望んでいたのだろう。かっこいい父親だ。

タイトルが誰のことなのか、それが一番気になった。



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