プライド 栄光への絆


 2009.8.21  尋常ではないプレッシャーの日々 【プライド 栄光への絆】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
町全体の期待を背負うアメフトチームの苦悩。本作は規模が田舎町全体となってはいるが、おそらく規模が違えど、どのパターンにも当てはまることだ。大きくは国を挙げて応援されるオリンピックやW杯。小さいものでは家族から期待される学校主催の~大会。周りはそう思ってはいないが、応援と期待をこめた言葉というのは、当人たちにとってはとんでもないプレッシャーになることがあるのだろう。本作をそれをリアルに、そして過剰に表現している。町をあげて応援され、店にいけば店員や他の客から声をかけられる。さながらちょっとした芸能人状態だが、普通の高校生たちにとっては、とんでもなく辛い状態だったのだろう。自分がもしそうなったらと思うと、冷や汗をかかずにいられない状態だ。

■ストーリー

1998年8月、テキサス州の小さな町オデッサ。パーミアン高校アメリカン・フットボール・チーム”パンサーズ”は9月のシーズン開幕を前に、州の優勝候補として町全体の熱狂的な期待を一身に背負っていた。ヘッドコーチである熱血監督ゲインズは、町の人々からの異状なプレッシャーを冷静に受け止めながら、選手たちを鼓舞し、支えていく。やがてシーズンが開幕し、順調に勝ち進むパンサーズだったが・・・。

■感想
町全体から期待され、それを良い方向へと昇華できれば良い。ヘッドコーチは選手以上に町の実力者からプレッシャーをうけている。挙句の果てには戦術にまで口を出してくる始末。なんとなくだが、スポーツニュースで適当に戦術批判をするスポーツコメンテーターに近いものを感じてしまった。言うほうは無責任に言えるが、ヘッドコーチは全ての責任をおわなければならない。それはチームを勝たせるのが仕事だからだ。町の権力者のご機嫌取りが仕事ではない。本作のヘッドコーチはそのことをとてもよくわかっているようだった。

チーム内でも実力が抜きん出ていた選手が試合で怪我をする。選手生命が危ぶまれるほどの大きな怪我だ。そのとき、チームはどうなるのか。このままプレッシャーに打ち勝ちながら、勝ち進むことができるのか、それともプレッシャーに押しつぶされるのか。町全体とチーム、そしてチームに関係する人々。それぞれの思いはチームの優勝ということしかない。しかし、目指す方向が同じだとしても、それを達成するためのアプローチの仕方の違いが、それぞれの関係をギクシャクさせている。怪我をした選手が、アメフトに命を掛けていたことを語るシーンでは、やりきれない思いがわいてくる。誰かのせいにできないのが、一番辛いことなのだろう。

チームは果たして優勝できるのか。典型的ハリウッド映画ならば、最後の最後でギリギリ逆転勝利するのが定番なのだろう。優勝しなければ、町にいられないと感じるヘッドコーチ。元名プレイヤーだった父親との関係に悩む息子。そして、チームの仲間たち。実在の出来事をベースにしているだけに、その後の展開が詳しく語られることはない。最後の最後でチームが一丸となり、一発逆転を目指す。ちょっとしたスポ根モノ的な流れから、緊張感にあふれた瞬間がおとずれることになる。

町全体から応援されるプレッシャーは、考えただけでもプレッシャーで吐きそうになる状況だ。



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