プルーフ・オブ・マイ・ライフ


 2010.1.26  女優の熱演にイラっとくる 【プルーフ・オブ・マイ・ライフ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
人に疑われる恐怖を常に持つとどうなるのか。天才数学者を父にもち、精神が崩壊していく様を間近で見る。血が繋がっているだけに自分もそうなるのではないかと恐れる娘。ヒステリックなまでに周りに攻撃的な態度を示す娘に、最初はいら立ちを覚えた。しかし、物語が進むにつれ、内情が見えてくると同情すべき部分が多々でてくる。父と娘、どちらが世紀の証明を発見したのか。物語は回想を含めながら、謎を解いていく。ある程度予想がつく流れではあるが、結末にもっていくまでの繋がりが非常にうまいと感じた。娘が証明を発見したとヒステリックになり、その後父親との回想へと繋がっていく。天才数学者は正気にもどり証明を導いたのか、それとも…。よくできた作品だ。

■ストーリー

天才数学者の父親を亡くし生きる活力を失ってしまった娘が、世紀の数学証明の謎を解くことで人生を再生していく。深く傷つき苦しむ一人の女性の魂の再生の物語。

■感想
頭のおかしくなった天才数学者。それを世話する娘。強烈な娘の被害妄想と、姉を含めた周りの無関心さに、多少のイライラを感じるが、それが最後にはすっきりと忘れ去られるほど、鮮やかなラストだ。数学の才能がありながら、父親の世話をする娘。回想形式を交えながら、父親が正常な時期を迎えたと観衆に思わせる。最初は父親がどれだけ偉大な天才だったかを表現し、狂った時期に書かれたノートの山と、その中に埋もれているであろう、天才の頭脳を探し出そうとする。この時点では、娘の不安定さばかりが露呈している。

物語が中盤になると、相変わらず娘はヒステリックだが、数学に対する適正のようなものを垣間見せ始める。父親は回復したようにみせつつも、異常行動が止むことはない。この、父親が異常か正常かわからない状態が、物語をミステリアスなものとしている。自堕落な娘をいさめる場面や、必死に机に向かう姿を見ると、観衆は天才数学者である父親が一時的にではあるが復活し、画期的な証明を導きだしたという思いになる。それが、結末では大きく覆されることになる。

娘のヒステリックな場面は、自分が父親と同じように狂ってしまうのではないかという恐怖と、人に信頼されないといういら立ちからなのだろう。姉との関係にしても、どこか過剰に反応しているような気がした。それらが、ラストに近づくにつれ、真実が明らかとなり、すべてがはっきり見えてくる。深く傷ついた娘が、どのようにして再生していくのか。はっきりいえば、娘のヒステリーにはイライラしてくる。それは、最後の場面であっても、くつがえされることはない。

構成はすばらしいが、娘のヒステリーがかなりイライラを誘う物語だ。ただ、それはすばらしい女優の演技と言い変えることができる。



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