パニッシャー


 2009.6.6  ロシア人は強いのか? 【パニッシャー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
よくある復讐劇なのには違いない。しかし、いろいろと面白要素がつまっている。それほど期待していなかったが、思ったよりもよかった。展開が速く、飽きさせることなく様々な趣向をこらしている。特に一番面白かったのは、殺し屋として派遣されたロシア人だ。「ロシア人を送れ」という言葉でやってきた巨大なロシア人。普通に拳銃を使えばいいところを、なぜか必死に素手で殺そうとする。フランクとロシア人が戦っているシーンで、ミスマッチな曲が流れ続けるのもすばらしい。その他、復讐ものとしての面白要素は十分に満たしている。かなりステレオタイプな作品かもしれないが、キャラクターがたっており、展開も速く、終始飽きることなく楽しんで見ることができた。最後はまるでヒーローもののように死刑執行人パニッシャーとなるのはご愛嬌かもしれないが。

■ストーリー

FBI潜入捜査官のフランクは武器密売組織に潜入していた。密売現場をFBIが急襲したとき、銃撃戦となり犯人のひとりが死亡。その犯人の父親は悪名高きハワード・セイントだった。息子の復讐としてハワードはフランクの家族を殺害。妻、息子、父親。愛する者を失ったフランクは法の裁きのではなく、自らの手でハワードに処罰を下すため、私刑執行人“パニッシャー”となって立ち上がる。

■感想
パニッシャーとなるまでは、実はかなり容赦のない作品だと思った。フランクの家族があっさりと殺されるあたり、まさに容赦ない。そこから、準備に準備をかさねて復讐に望むのだが、そこには取り立てて綿密な計画があるようには思えなかった。ハワード・セイントにいたっては、それまで見せていた温厚そうな表情とは一変して、仲間をあっさりと始末したり、善悪をはっきりさせようとメリハリがつけられている。かと思えば、拷問シーンでは機転をきかせて、策略をねったり、セイントを罠にはめたり。ただの筋肉バカではないというのも好感がもてる要因なのかもしれない。

極めつけはフランクとロシア人の戦いだ。ロシア人が強いというのは一般的なイメージなのだろうか。フランクもでかいほうだが、そのフランクが小さく見えるほど巨大なロシア人。フランクとロシア人の戦いは、まさに面白いとしか言いようがない。銃をもっても、鉄アレイで銃身を捻じ曲げる。絶望的な表情をするフランクには、悲壮感よりも、見ていて少し面白くなってしまった。ロシア人とフランクの戦いでの曲も、かなり計算されてつくしており、同じアパートの住人の部屋の窓越しに見える戦いシーンは、シュール以外のなにものでもなかった。

パニッシャーとしての戦いはおいといて、一貫して善悪をしっかりとわけ、圧倒的に相手を打ちのめす様は見ていて面白い。よくあるパターンで、下手したらこのまま復讐のアメコミヒーローになってしまうかもというほどの終わり方だ。髑髏のTシャツをトレードマークとしてパニッシャーとなる。そんな味付けや、ラストのセイントを痛めつける方法など、映画的というよりも、漫画的といったほうがいいのかもしれない。正義のヒーロー的なのは前半だけで、後半からは、有無を言わさぬ復讐の鬼となっている。なんだかありきたりだが、この徹底ぶりがよかったのかもしれない。

期待していないぶん楽しめた作品だ。



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