2009.2.16 アメリカを変えるのは誰だ 【大いなる陰謀】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
本作を見てどのように感じるだろうか。人によって感じ方は変わってくるが、自分の中では国を変えたいと思う心を利用した戦争へのプロパガンダのように見えた。作中では、戦争に反対するという思いを主張しようとしてはいるが、結局誰もが成功していない。そればかりか、国を変えようと戦場に向かった若者が死んでいくだけ。結局何も変えることができていない。ジャーナリストや教育者であっても、政治家と世論、そして、間違った主張により若者が犠牲となる。最後までしっかり描かずに、突然終わらせたことで、観衆たちに疑問を突きつけて終わっているようだ。これを見てアメリカ国民は「やっぱり戦争はいけないんだ」なんてことは思わないだろう。世間の実情を知り、全てが無駄なんだと悟るだけだ。
■ストーリー
未来の大統領候補の呼び声高いアーヴィング上院議員は、大物女性ジャーナリストをオフィスに呼び、密談を行った。対テロ戦争における極秘作戦の情報をジャーナリストにリークする議員と、彼の行動の裏に巨大な陰謀をかぎつけるジャーナリスト。一方アフガニスタンの山中では、「国を変えるために、戦場へ行く」と希望を手にアメリカを旅立った青年2人が、生き残りを賭けた壮絶な戦いを強いられていた。彼らの恩師である大学教授は、教え子たちの安否に思いをはせながら、教育者の立場から世界を変えるための闘いに乗り出していく……。
■感想
観衆としては突然終わったという印象が強いだろう。三つのパートに分かれつつ、それぞれが会話しながら現状を認識させていく。大物俳優を起用しながらもほとんど動きがなく、向き合って話をし続けるだけだ。この大物たちの起用には、対話の中に説得力をもたせるためなのだろうか。何かを変えたいという大きなメッセージ性は感じるのだが、そこには説得力がない。戦場で戦う若者たちと、対話で世界を変えようとする人々。この対比が生々しく、そして、戦場の若者たちの無力感を際立たせている。
果たしてトム・クルーズ演じるアーヴィング議員は正義として描いたつもりなのだろうか。その風貌と話しぶりから善というイメージを与えつつも、実は悪だった。誰もが良いイメージを持つトム・クルーズを隠れた悪にしたてあげ、ジャーナリストは真実を主張することに戸惑い悩み、最後は何もできない。戦場で犠牲となる若者のことは誰一人として気にしていない。しかし、教育者は生徒たちに何かを変えさせようとする。その結果がどうであれ、教師は生徒たちに何かをたきつけるだけで終わっている。誰が善で誰が悪なのか、まったく見えてこない。
本作は観衆に疑問を投げかけて終わっている。今の現状を伝え、何をやるべきか観衆に選択させようとしている。ただ、本作を見る限りは、戦争は良くないことだとわかっていながら、じゃあ何をすればいいのかというのがあいまいなまま終わっている。結局は何も変えることができないのか。当事者ではなく、日本人としてみると、ずいぶんと勝手な終わり方だなぁと思った。アメリカの現状とその仕組みを説明し、じゃあどうすればいいのか、後は自分で考えろと無責任なようにも感じてしまった。
戦争の悲惨さとアメリカの現状?を映し出しているようにも見えるが、監督の身勝手なストレス解消作品のようにも見えた。
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