女はみんな生きている


 2008.11.11  男はみんな浮気するもの? 【女はみんな生きている】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
男はみんな浮気をするものという前提がある国とそうでない国。フランスが前者であり、日本が後者なのだろう。本作は男に対して、今まで抑圧されていた女のパワーがあふれ出し、男を翻弄するという作品のようだ。おそらくフランスではそう見られたのだろう、ただ、日本で見ると、肝心の男があまりにキャラクターとして濃いために、女のパワフルさがかすんでしまっている。女の自立というか、男には負けないというのはよくわかる。しかし、男の象徴として描かれている夫であるポールとその息子の自由奔放さにまず目を奪われてしまった。あんな男が普通に存在していること自体、それだけで物語として成り立ちそうだ。しかし、そう思うのは日本人だからかもしれない。女のパワーを感じることができるが、男のキャラの濃さに負けているのか?

■ストーリー

まったく境遇の異なる平凡な主婦と謎の娼婦が偶然出会い、目の前で起こった事件をきっかけに人生が変わっていく様を描いたサスペンスコメディ。

■感想
平凡な主婦が突然事件に巻き込まれる。平凡といっても夫ポールと息子、そして、自分の仕事と忙しく動き回るエレーヌ。冒頭から、母親をないがしろにするポールと、自分も同じように息子にないがしろにされるエレーヌ。男はどこまでも身勝手で自分のことしか考えていない。母親はいつもつまはじきとなる。そんな流れの中で、事件が起こるのだが…。なんだか、エレーヌの行動に釈然としないものを感じながらも、あの夫と息子たちならば、好きなことをやりたくもなる、と共感できる。

しかし、夫と息子がいかに浮気性で自分のことしか考えない男であっても、エレーヌや息子の恋人たちの行動はとっぴすぎる。浮気が当たり前という文化があればこそ許されることなのだろうか。人身売買や薬物関係など多数の要素が詰め込まれており、かなりのハイスピードで物語は展開していく。気を抜くと、とたんにおいていかれてしまいそうだ。女たちの逆襲が始まってからも、興味深く注目したのは、夫であるポールだ。ステレオタイプの実業家として描かれているようだが、どうにも面白い。女には不自由しないといいながら、あっさりと娼婦に落とされたりと、キャラクターとして一番立っていた。

すべては女たちの逆襲だ。女がいなければ何もできない男たち。結局は女に良いように操られている。女が力をしめせば示すほど、男たちの無垢で子供っぽい部分が目立ってくる。ポールであったり、息子であったり、すべてはエレーヌがいないと何も始まらない。自分が男だからそんな見方をしてしまったのだろうか。なんだか身につまされる思いをする場面もある。(女がいなければ何もできないなど…)しかし、女たちが勢いを増せばますほど、哀れな男たちに同情してしまう

非常にハイスピードで、合間にコメディも含まれており、楽しく見ることができる作品だ。ただ、途中で身につまされる思いをするかもしれないが…。



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