西の魔女が死んだ


 2010.9.24  まるでNHK教育テレビのようだ 【西の魔女が死んだ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
非常に教育的というか、のんびりしたというか、NHKなどで子供向けに上映する映画としては最適かもしれない。人間関係や死というものに悩む中学生が、英国人の祖母と生活することによって様々な経験をし、人間的に成長していく姿が描かれている。祖母のことを西の魔女と比喩し、魔女になるための修行として規則正しい生活をする。単純なことこの上ないが、これが大事なのだろう。都会に暮らす者にとっては、自分の家の前に畑があり様々な野菜や果物が採れ、そこで自給自足に近い生活をする。田舎暮らしに憧れている人は見れば十分楽しめるだろう。激しいアクションや事件を求める人には向かない作品だ。山あり谷ありではなく、のんびりとした生活の中で見えてくる真実というものがある。

■ストーリー

中学に進んでまもない夏の初めに、学校へ行けなくなったまいは、森で暮らす“西の魔女”のもとで過ごすことに。西の魔女とはまいのママのママ、英国人の祖母のこと。大好きなおばあちゃんから「早寝早起き、食事をしっかりとって、よく運動し、規則正しい生活をすること」の大切さを教わる。そして何より一番大事なのは「何でも自分で決めること」だった。まいは戸惑いながらも、料理、掃除、洗濯、庭づくり・・・と、毎日励んでいく。実はその生活は、“魔女修行”の始まりだった。大自然の中で暮らす日々の中で、まいは“楽しく生きる力”を取り戻していく・・・。

■感想
学校へ行けなくなった中学生の”まい”が楽しく生きる力を取り戻していくまでを描いた作品。はっきりとしたイジメで学校へ行けなくなったという描写はない。ただ、女の子独特のグループ意識というか、仲間の中に入るきっかけを逃したことが学校へ行けなくなった原因なのだろう。まいの悩みよりも西の魔女と自称する祖母の家での生活がメインとなっている。早寝早起きし、おばあちゃんのお手伝いをする。なんだかすごく楽しそうな、ちょっとした自給自足生活のように見えてくる。そして、恵まれた”まい”の生活がうらやましくなってくる。

物語はしだいに、学校へ行けなくなった”まい”の思いよりも、祖母との生活での会話がメインとなってくる。魔女になるために何をしなければならないのか。死というものに実感がない”まい”にとって、魔女が語る死というもの。中学生が見るにはちょうど良く、大人が見るには少し物足りなく感じるかもしれない。田舎生活のノンビリとした時間の流れというのはうらやましくなるが、学校をドロップアウトしている”まい”の気持ちにを自分に置き換えると、大人は素直に楽しめないかもしれない。この夢のような生活をいつか抜け出さなくてはならないという苦悩が待ち構えているからだ。

学校の教材として本作を中学生なりに見せるとどんな反応を示すのだろうか。中学生であっても激しいハリウッド映画に慣れている昨今。少し刺激が足りないのと思うかもしれない。学校へ通えない中学生を描くのならば、もっと激しいイジメの描写が必要となるだろうし、祖母との激しい衝突も描くべきだろう。本作ではずいぶんと”まい”が良い子のように思えて仕方がない。最近の中学生でこれほど物分りの良い子がいるだろうか。学校に行かないことについて、まったく後ろめたく感じていないことにも違和感を覚えてしまった。

田舎暮らしに憧れる人は見てみると良いだろう。



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