ミリオンズ


 2010.1.19  カラフルで夢のある作品 【ミリオンズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
夢のある映像と明るい雰囲気。荒唐無稽でありえないような展開だが、どこかアニメを見ているような気分にさせてくれる。子供が見ても楽しめるのではないだろうか。単純明快でありながらも、深読みできる部分もある。色鮮やかで綺麗な景色もあり、大金を手に入れた子供たちが、悪いことに使うのではなく、貧乏人に渡そうとする。ともかく独特な演出と、強引なまでの展開で、物語はどんどんと進み、楽しんで見ることができる。たまに入り込むシニカルな演出が物語にアクセントを与え、飽きることなく楽しませてくれる。この独特の演出をどれだけ楽しめるか。人によってはあまりにユニークすぎて受け入れられない可能性もある。

■ストーリー

イギリスの通貨がポンドからユーロに変わる12日前。8歳のダミアンが線路沿いに作ったダンボールの隠れ家に、22万ポンド入りのバッグが降ってくる。10歳の兄アンソニーは、12日間で大金を使いきろうとするが、信心深いダミアンは、そのお金を困った人のために役立てようとする。

■感想
信心深いダミアンと頭のきれる兄アンソニー。二人のもとに転がり込んだ大金をどうやって使い切るのか。アンソニーが10歳ながらも、信じられないほど大人っぽい行動をとる。大金を持っていると知られないための言い訳と、大人たちを手玉にとる「お母さんが死んだから」という言葉。小憎らしいアンソニーと純真無垢なダミアン。信心深いからか、それとも純粋なためか、ダミアンの行動は若干イライラさせるものがある。大金を手にした子供たちのとる行動は、子供にしては世間を知りすぎている

ポップでカラフルな雰囲気と特徴的な演出。何の前触れもなくダミアンの前に登場する神様たち。はっきりいえば、物語で不思議なことが起こっても、なんの説明もない。逆にそのことをギャグにすらしてしまっている。そのため、何も知らない父親だけがどうにも滑稽であり、ある意味純粋に見えてしまう。ポンドからユーロに切り替わるという日に、大量のポンド札をもつ家族は一体どうなるのだろうか。シリアスでもなければヒューマンでもない。コメディといえるほどギャグに特化していないが、微妙に笑える、そんな奇妙な作品だ。

ラストには少しホロリとし、全てがうまくいくようになっている。ポンドからユーロに切り替わるという激動の日を前に、金の価値を問うような物語となっている。信心深いダミアンはどのような思いで貧しい人に恵んでいたのだろうか。ダミアンの純粋さがアンソニーとの対比で際立ってくる。金の価値は人それぞれ。金に興味がない人はいないが、使い方によっても随分と変わってくる。カラフルな映像にまぎれてしまっているが、主張していることは結構強烈かもしれない。

ポップな雰囲気が本作の全てを明るいものとしている。



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