2008.8.7 劣化マトリックス 【メトロポリス2035】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
脳にIDチップを埋め込み、近未来都市の幻想を見せ、感情さえも制御し犯罪を抑制しようとする。やろうとしていることは、まさに未来のユートピアを目的とし、その副作用として感情の起伏が一切無いロボットのような人間が量産される。脳に埋め込んだチップで仮想現実を見せるくだりなど、そのままマトリックスだ。それもマトリックスほどしっかりした世界ではなく、どうもぼんやりとした世界だ。中途半端にバーチャルな世界を見せ、人々を幸せな気分にする。外見だけ綺麗だが、中はボロボロのハリボテのように作られた世界で生活する人々。どうにも劣化マトリックスの印象を最後まで拭い去ることがで
できなかった。
■ストーリー
近未来都市を舞台に人類存亡を賭けた壮絶なバトルを壮大なスケールと世界観で描くSFアクション大作!2035年。人々は脳にIDチップを埋め込まれ、巨大な都市国家に支配されていた。そんな閉ざされた未来に抗うべく選ばれし戦士が立ち上がる!
■感想
近未来の都市ではすべてがコンピュータで管理され、犯罪もなく幸せに満ち溢れた世界となる。CGで表面だけ美しく形作られた世界で生活する人々。そのからくりに気づかなければ、幸せな日々を過ごせていたのだろう。それはちょうどマトリックスでこの世の仕組みに気づかず生活する人々のように。世界の欺瞞に気づいた一人の女戦士が立ち上がりレジスタンス活動をする。一種の反乱なのだが、それがどうも規模的に考えて小さいというか、小規模に感じてしょうがなかった。世界規模のわりに、反乱がごく局所的だ。
人々の感情の状況をコンピュータが管理し、犯罪を起こす可能性のある状況を瞬時に判断し、警察を向かわせ、犯罪を抑制する。まさに管理社会の究極なのだが、人々はそれを幸せだと考える。今現代の世界でもある程度の管理社会となっているが、そのエスカレータした形が本作なのだろうか。2035という副題がついているように、あと三十年後にはそのような世界がおとずれるのだろうか。極度にコンピュータ化された世界のわりには、アナログな部分もあちこち目に付いた。それは今の社会でも同じことか。
作品全体から感じる雰囲気としては、近未来世界のCGは素晴らしいものがある。まさに現代人が描く理想の未来像なのだろう。しかし、そうかと思えば、反乱軍の戦いがレーザー銃で戦うというものであり、これは別に良いのだが、その戦いがあまりにしょぼすぎる。近未来のCG世界のわりには、随分と現代的な銃撃戦だ。この映像の落差こそが、もしかしたら脳にIDチップを埋め込まれた人々が見ている映像と、目を覚ました人々が見る映像の違いなのだろうか。
劣化マトリックスなのは間違いない。ただ、冒頭に登場するCG世界はかなりインパクトがある。
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