2010.8.22 奇妙なロードムービー 【メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
メルキアデス・エストラーダが三度埋葬される姿を描いた作品。時系列に物語が進んでいくわけではなく、ピートの思い出としてメルキアデスが頻繁に登場してくる。タイトルの理由がわかってくると、物語に集中できる。ピートがメルキアデスにこだわる理由や、マイクの自分本位な性格など、物語の要素は着実に積み重ねられていく。後半はピートがマイクを連れて、メルキアデスを埋葬するために国境を越えメキシコへ向かう。この厳しい道中において、マイクとピートの心にどのような変化がおとづれるのか。サラリと見てしまうと、重要な伏線を見逃す可能性もある。男二人のロードムービーと言えなくもないが、不思議な雰囲気だ。
■ストーリー
約束は必ず守る!!テキサスに不法滞在するメキシコ人メルキアデス・エストラーダは親友ピートとある約束を交わしていた。それは「俺が死んだら故郷ヒメネスに埋めてくれ」というもの。メルキアデスは、ある日突然、銃弾に倒れる。ピートは犯人が国境警備員マイクであることを突き止め、彼を拉致。メルキアデスとの約束を守るため遺体を掘り起こし、マイクと共にメルキアデスの故郷、ヒメネスを目指す。約束を守り抜こうとする男、人を殺めた男、最後に夢をかなえて欲しい男。男と男と死体の旅の果てに彼らを待つ衝撃のエンディングとは?
■感想
死体を担いでメキシコへ向かう。後半のロードムービーはなんだかよくわからないが迫力がある。立ち入った民家では目の見えない老人が、撃ち殺してくれと懇願する。アメリカとメキシコの国境ということに、何か大きな意味があるのだろう。国境警備員として不法入国したメキシコ人を排除していたマイクが、同じメキシコ人に助けられるなど、メキシコ国境での二人の行動には意味を見出すのは難しいが、思わず見入ってしまう何かがある。
自分勝手なマイクがメルキアデスの死体を運ぶ道中で微妙に変化していく。逃げ出そうとするが、逃げ切れず、従順になるしかない。このマイクとピートの関係が普通のロードムービーとはなりえない、独特の雰囲気をかもしだしている。マイクを連れ出したために追われる身となったマイクは、もうアメリカに戻ることはできない。ピートの頑固なまでのメキシコへ向かうという気持ちの根本は何か。メルキアデスとの思い出の中で見つけ出すしかない。
終始、砂っぽい映像が続く本作。メキシコとの国境ということで、乾燥した世界というのは簡単に想像できる。そんな中で、メルキアデスの死体に変化があり、死体をいかにして腐らせないかに苦心するピートが変に面白かった。仏頂面で何を考えているのかわからないピート。観衆はマイクの立場となりながら、ピートの行動を信じられない気持ちで見るしかない。メルキアデスの故郷が最後に謎として登場するが、それはどうでもいい。マイクとピート、二人の旅にのめりこんでしまう。
結構グロテスクな場面がある。
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