迷い婚


 2010.6.1  「卒業」は見ておくべき 【迷い婚】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
「卒業」を見ていればまた違った感想をもつのだろう。残念ながら卒業は見ていない。そのため、作中で語られている卒業のモデルと言われても、ほとんどピンとこなかった。これが卒業をしっかりと見ていれば、ずいぶんと印象は違っていただろう。特にサラの出自に関わるあたりは、卒業をしっかりと理解していれば大きなインパクトを受けるだろう。卒業をまったく知らなければ、サラは結婚を控え、迷いながらも元の鞘にもどるというごくありふれた女性に見えてしまう。父親との関わりや婚約者との関係。年代的なものもあるのだろうが、三十代にしてはちょっと青臭いようにも感じられた。それがピュアで良いのかもしれないが。

■ストーリー

ジェニファー・アニストン演じるサラは、妹の結婚式にフィアンセのジェフと出席する。彼女は結婚を控えて不安な気持ちになっているが、そんな時に祖母のキャサリンから、彼女の家族は映画『卒業』のモデルになっているらしいと聞く。「ミセス・ロビンソン」の名前を聞くやすぐに、彼女はジェフの元を離れて調査を始め、ダスティン・ホフマンが演じた男性はボー・バローズで、彼が自分の父親ではないかと疑う。

■感想
家族が「卒業」という有名な映画のモデルになっていると聞かされたら、どう思うだろうか。まずその事実に驚き、そして映画の内容を想像し、自分に当てはめるだろう。この大事な要素である「卒業」を見ていないのは致命的だった。卒業で発生した問題や、ドタバタをまったく知らずにただ本作だけを見ると、自分探しの旅に出かけた結婚前の女性が、結婚に悩むという単純な映画に思えてしまう。そうなってくると、そんなことに悩むのはせめて20代までにしろと思えてくるのだ。複雑な事情をどれだけ感じながら見ることができるか、それにかかっている。

サラが結婚を控えて不安になる描写があるが、不安の根本的な原因というのがよくわからなかった。あまりにも性格が違う妹の結婚を見て思ったのか、それとも家族の中で自分だけが異質だという部分なのだろうか。サラが不安を解消するため、すばやく行動しさっぱりとした男っぽい性格を見せたかと思うと、細かな部分ではウジウジと悩んだりもする。結婚を控えた女性の気持ちを良く表しているのだろうか。父親との関係や、婚約者とのラストのシーンを見ると感動できるのかもしれない。それらすべては、どれだけサラに感情移入できるかにかかっている。

地元に誇りを持つちょっと偏屈な父親。この父親が、自分の境遇がどうであろうと、信念を貫くかっこいい父親なだけに、サラともども感動を引き起こす引き金となっている。サラ自身が思っていた父親とのギャップと、サラが悩んでいたことをあっさりと解決してくれる父親の言葉。30代といえば、結婚に悩むというのもおかしな年齢のように感じられるが、映画のモデルとなるほどの強烈な家庭環境では、そうなる可能性もあるのだろう。

サラの気持ちは最後に少し理解できた。



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