マッチポイント


 2008.11.4  まさに昼のメロドラマだ 【マッチポイント】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
典型的なドロドロもの。誰もが予想するような方向へと物語りは動いていく。ありきたりな流れ、そして、結末もある程度よめる…と思いきや、結末だけは意外だった。この結末にマッチポイントというタイトルの意味がかかってくるのだろう。タイトルにマッチポイントと付いておきながら、テニスとはほとんど関係のない物語となっており、ただの愛欲にまみれたドロドロもの。つまりは昼のメロドラマのように、ある程度予定調和的な物語かと思っていた。サスペンスとうたっているように、ラストにはそれなりにハラハラどきどきとする場面がある。意外な結末とあいまって、今までの退屈なドロドロドラマから、ちょっと目が覚めるような終わり方ではある。

■ストーリー

野心家の元プロテニス・プレイヤーのクリスは大金持ちの息子トムと親しくなり、トムの妹クロエと付き合うようになる。ある日、トムの別荘に招かれたクリスは、トムの婚約者であるノラと出会い、挑発的な態度の彼女に惹かれ関係を持ってしまう。クリスは憧れの上流階級の道を選びクロエと結婚するが、ある日偶然ノラと再会して心は揺れ動き…。

■感想
金をとるか、女をとるか。上流階級の仲間入りをし、その地位と名誉を保つために、クリスは無謀な手段を選ぶ…。これはまさに昼のメロドラマの世界だ。主婦が好みそうな、愛欲にまみれた世界。しきりに子供を欲しがるクロエと妖艶な魅力を放つノラ。クリスは、はたしてどちらを選ぶのか…。本来なら、ここでドキドキしながら物語を見ていくのだろう。上流階級社会になじんできたクリスの出世街道をひた走る姿は、見ていて面白い。いろいろと小細工をしながら、ノラと逢引する時間をつくるのも興味深い。しかし、所詮は昼ドラレベルのように感じてしまった。

主演俳優と女優が外国人になっただけで、やっていることは変わらない。ドロドロとした世界と、華やかな上流階級の世界。男の葛藤を描きながらも、観衆たちは、クリスがどちらを選ぶかということに最初から気づいている。ある程度決まりきった流れの中で、最初は強烈な存在感と魅力を放っていたノラが、トムと別れたとたん、なんだか卑しい女のように見えてきたから不思議だ。クリスにわがままを言って困らせるノラ。そこは必要な部分なのだろうが、ノラの上品さを打ち消すように、ただ、痛い女に成り下がったようにしか見えなかった。

サスペンス的な魅力としては、ほぼ皆無に等しいかもしれない。ただ、ラストの結末だけは意外だった。クリスのあらゆる人たちへの裏切りを考えると、決して順風満帆な人生を送れるはずがない。かならず、最後には崩壊してしまうだろうという予感があった。しかし、結末は違っていた。前半部分をもっと削って、このラストの警察とのやりとりのくだりを多くすれば、まだサスペンスとしての魅力がでてきたのだろう。昼ドラに力を注ぎすぎたのだろうか。結局は昼ドラの印象しかない。

タイトルの意味はラストの展開でわかる。納得はできないが、まあ、こんなもんなのだろう。



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