マスター・アンド・コマンダー


 2009.8.2  男くさい船上の物語 【マスター・アンド・コマンダー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ほぼ8割が海の上という船上の物語。中世ヨーロッパの物語だけに、今のように発達した戦艦ではない。木製の、嵐がきたら壊れてしまいそうな戦艦。突如来訪した敵戦艦との戦いが冒頭にあり、まずこの戦いの激しさに圧倒された。大砲であちこちボロボロとなり、穴が開いて浸水し、死傷者も多数でる。そんな状況でありながら艦長のジャックは船を修理して、追撃に向かおうとする。ジャックのかっこよさと船医の冷静でありながら、人間味あふれる行動に心打たれた。ただの戦艦戦闘ものではない。船内には友情あり、軋轢あり、厳しい上下関係あり。狭い船内で繰り広げられる様々な出来事を見ていると、時間はあっという間にすぎてしまった。

■ストーリー

ナポレオン率いるフランス軍が、各国に侵攻していた19世紀初頭。不敗神話を誇る、イギリス軍の艦長ジャック・オーブリーが率いる「サプライズ号」が、フランスの武装船に果敢な攻撃を挑む。

■感想
威厳があり、頼りがいのある艦長ジャック。定番どおり、ラッキージャックとして船員に慕われ、友情にも厚く、かっこいい。そして、もう一人が艦長と親友でもある船医だ。この船医が戦い至上主義のジャックに対して唯一意見できる人物となっている。狭い船内で引き起こされる様々な出来事。ジャックはいくつかの決断に迫られるが、それらは自分の信念に従ってしっかりと決断している。有無を言わさぬ迫力がある。それをサポートする副艦長や航海長たちもすばらしい。男だらけのむさくるしい作品のはずが、なぜかさわやかに感じてしまうのは、みなの心が一つになっているからなのだろう。

強力なフランス軍との戦い。圧倒的不利な状況でありながら戦う姿は見ていてワクワクしてくる。まだ若い、少年のような顔立ちの准尉たちと共に戦う姿は印象的だ。特に、食事の場面では、歴戦の兵たちに交じって、まだ幼い仕官たちがワイングラスを掲げる。むさくるしい船内には、筋肉もりもりでひげ面の男たちが似合う。その中に、肌が白く、やわらかい髪の幼い仕官たちが、水兵に命令する姿は、なんだかものすごく異質な気がした。激しい戦いの中でも、幼い仕官たちが戦う姿は、どこかそこだけ別世界のように見えた。

激しい嵐の中、ひたすら敵を追い続ける戦艦。ボロボロになりながらも目的のために邁進する。ジャックの敵を追いかける気持ちが強ければ強いほど、船医との友情もまた強かったのだと思い知らされるシーンがある。船医の優しげな表情と、船医を慕う仕官たち。ジャックの荒々しさを船医が中和し、そして仕官たちは二人に従っていく。理想的な組織かもしれない。艦長であるジャックの力強さは他を圧倒しているが、キャラクターとしての魅力は間違いなく船医のほうが優れていた。

ほぼ船上のシーンばかり。それでも物語としてはしっかりと構築されている。



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