ママの遺したラヴソング


 2009.7.5  奇妙な三人生活 【ママの遺したラヴソング】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
見ず知らずの母の友人と暮らすことになった若いパーシー。こんな環境にいること事態がなんとなく普通ではない。若い女が中年男たちとと一緒に暮らす。親子でもなければ血のつながりも無い。しかし、見ていくうちにこの奇妙な同居生活に不自然さを感じなくなる。怠惰な生活をおくっていたパーシーが、だんだんとまともになり学校へも行きだす。それに触発されるように男たちも変わろうとする。なぜこれほどパーシーが変わっていったのか、明確な理由はわからなかった。ただ、一言で言うなら、人と一緒に生活するという暖かさを知ったからかもしれない。パーシーの変化は周りを変え、衝撃的な事実さえも受け入れようとする。ジョン・トラボルタ扮するボビーがなんとも良い味をだしている。セクハラ親父であり、教師であり、そして暖かい父親である。この生活が全てを良い方向へと導いたのだろう。

■ストーリー

フロリダで怠惰な生活を送るパーシーに、長年会っていなかった母の訃報が届く。ニューオーリンズの生家に帰ったパーシーを待っていたのは、二人の見知らぬ母の友人。元文学部教授のボビー・ロングと、彼を慕う作家志望の青年ローソン。そして嫌々ながらの三人の同居生活が始まる。新しい生活、文学との出会い、初恋、そして初めて聞く亡き母の横顔。ささくれだっていたパーシーの心は、いつしか少しずつ、癒されていく。そしてそんなある日、母が自分に宛てた一通の手紙を発見する

■感想
本作の見所は、間違いなくパーシーがだんだんと変わっていく姿だ。生意気な小娘から、教養のある大人の女へと変わっていく。それは紛れも無くボビーやローソンと生活したおかげなのだろう。父親と母親に捨てられたと思っていたパーシーにとって人と生活するということが、大きな肥やしになっている。母親の古くからの友人たちにも助けられ、だらけた生活から抜け出すことができている。一見、へんてこな生活に見えて、ちゃんと生活が成り立っている。注意してくれる人がおり、自由にやらせてくれる部分もある。ちょっとラインからはみだした女の子にはちょうど良い環境だったのだろう。

同居人のローソンも良い味をだしているが、なんといってもボビーだろう。メタボリックな体系で、セクハラしまくり。それでいて、パーシーに文学の何たるかを教え、自分たちの夢を語る。アルコール依存症のボビーたちにとっては、パーシーこそがそこから抜け出すための救世主だったのだろう。パーシーと同じく怠惰な生活を続けてきたボビーとローソンにとっては、真っ当な人生を送るための最後のチャンスだったのかもしれない。この三人の絶妙なバランスが壊れそうで壊れない関係。壊れたとしても、すぐに修復できる。お互いに必要なパズルのピースのようだった。

ラストは感動を誘うようなつくりとなってはいるが、正直それほど感動はしなかった。なんとなく流れは読めていたというのもあるし、最後に愛を語るというのもちょっと今更という気がした。パーシーの本当の父親が明らかになったとしても、それがどうしたというくらいだ。物語にとっては重要なポイントなのだろうが、パーシーが更正した時点でなんだか物語りは終局へと進んでいるような気がした。ボビーとローソンすら知らない事実をパーシーから告げられたとき、衝撃は大きいのだろうが、それは都合よいラストを迎えるためだけのことだ。

序盤から中盤までは楽しんで見ることができた。しかし、後半は…。なんだかもったいないような気がした。



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