マーサの幸せレシピ


 2009.6.1  不安定だが料理はおいしそうだ 【マーサの幸せレシピ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
最高の腕を持つシェフのマーサ。このマーサが冒頭からカウンセリングを受けたり、賄いなどの食事をほとんど食べなかったり。すばらしい食事を作りはするが、どこか普通ではない印象を観衆に与えている。料理に対しての高いプライドと自信。姉の娘を引き取ることで、今まではただ料理を作っていればよかった生活に、変化がおとづれる。このマーサというキャラクターはなかなか共感をえがたいかもしれない。最高の腕を持つことと、精神的に不安定なことがどの程度リンクしているのか。周りの理解ある仲間たちに囲まれながらも、どこか正常ではない。突然同僚となったイタリア人シェフや周りとの人間関係から、次第にマーサが変わっていく様を見守ることが本作の正しい見方なのだろう。ほとんど食事シーンのなかったマーサが最後は食事をする。そこに何か大きな変化が現れた兆しだろう。

■ストーリー

最高の腕を持つ反面、人との関わりを軽視する料理店シェフ・マーサは、ある日事故で死んだ姉の娘を引き取ることに…。人生を楽しもうとするイタリア人シェフや理解できない娘など様々な人との出会いからだんだんとマーサは自分の人生を見つめ直していく…。

■感想
最高の腕をもち、プライドが高く、自分の料理に自信をもっているマーサ。他人に料理を作ることを生きがいとしているように、自分で食べることはしない。作った料理を勢いあまって階下の住人に持っていったり、カウンセラーにふるまったり、何か普通ではない雰囲気を漂わせているのがマーサだった。それにしても、アンティークでもそうだが、作中に登場する食べ物というのはものすごくおいしそうに見える。マーサが作る料理は、その調理シーンから見ているだけに、手際のよさと匂いたつような画面で、料理に対して強く印象づけている。

不安定な心のマーサに変化がおとづれるのは姉の娘を引き取ってからだ。厨房にも連れてきて、一緒に料理の真似事をする。本作では多数登場する調理シーンの中でも、一番楽しそうにマーサが料理している場面かもしれない。マーサが不在の間にシェフの代理をしていたイタリア人シェフ。腕はあるがマーサと違い、ぴりぴりとした雰囲気がない。マーサとは対照的にこのイタリア人シェフは人生を楽しみ、謳歌しているようにも見えた。厨房で好きな曲を流しながら料理をする。このイタリア人シェフの登場で、マーサの心のうちに少しづつ変化が訪れる前触れのようなものが感じられた。

最高の腕を持つマーサだが、何より印象に残っているのは腰に巻いた水色の布だ。フライパンや何か熱いものを持つときに、その布を手に巻いて物を持つ。だらりとぶら下がった水色の布は、コック服の白の中でひときわ目立つものとなっている。イタリア人シェフも含め、他のシェフたちがそのような布を巻いているようには見えなかった。マーサだけ特別なのか、やけにその水色の布が目に入ってしまった。手際よく料理するその姿。綺麗で整理整頓された厨房で料理をする姿はまったく門外漢の者でも、なんだかワクワクするような気分になってくる。

最高の腕を持つシェフのマーサがどのように変わっていくのか。人との繋がりがポイントとなっている。



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