ラッキー・ユー


 2010.1.6  ポーカーの面白さまんさい 【ラッキー・ユー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ポーカーもの。相手の心理を読み、ひりつくような緊張感はないが、ポーカーでの賭け事の面白さを感じさせる作品。莫大な金がかかっているわけでもなく、人の生き死にがかかっているわけでもないので、この賭けに負けたらおしまいだという緊張感は薄れてしまう。どこかゲームの延長線上というイメージは拭い去れず、軽い印象を受けてしまう。ただ、父親が生粋のギャンブラーでスゴ腕を持っているとなれば、親子対決に注目せざるお得ない。物語に花を添える役目のビリーはほとんど飾りのようなものだ。メインはハックと父親の対決で、そこに至るまでにポーカーの面白さとルールを自然に理解できたのはよかった。緊迫感には欠けるが、ポーカーの楽しさは間違いなく味わえるだろう。

■ストーリー

舞台はラスベガス。ハック・チーバー(エリック・バナ)は、相手を“読む”ことにかけては天才的な才能を発揮するスゴ腕のポーカー・プレイヤー。勝負では強気だが、プライベートでは人に深入りせず、とりわけ誰とも本気になるような関係や長い付き合いを避けていた。そんな彼が初めて出会った“読めない”相手。それは歌手になる夢を抱いてラスベガスに出てきたばかりの新米女性シンガー、ビリー・オファー(ドリュー・バリモア)。常に相手の裏ばかり読んできたハックと、素直で純粋で、感情がすぐに顔に出るビリーは、正反対の性格ながら惹かれ合う。が、ある出来事からハックはビリーを深く傷つけてしまうことに…。一方でハックは、目前に迫ったポーカーの世界大会に出場する為に日々奮闘していた。彼にはこの大会に出場し、どうしても勝ちたい相手がいたのだ。その相手とは、ポーカー界の伝説的存在で、かつて自分と母を捨てた実の父親、LC・チーバー(ロバート・デュバル)であった 。

■感想
天才的な、相手を読む才能を持ち合わせながら、熱くなり最終的には賭け事に負けてしまう。そんなハックが成長し、最後は父親と対決するという流れだ。序盤ではハックの人を読む天才的な才能と、ギャンブラーである父親の現在を描いている。ハックは賭け事で身を破滅させる寸前でありながら、父親は勝ち組となっている。この違いは、ハックの強気な姿勢にあると父親は語る。イメージしていたのは、ギャンブルでボロボロになった父親を憎むハックという図式だったが、正反対の流れだった。どう考えても序盤の流れは大人な父親に対して、ハックはただの反抗期のガキのように見えた。

ギャンブルで身を崩すのは確実にハックのような人物だろう。周りから借金をしまくって、最後には負けてしまう。逆にハックを捨てた父親の方がポーカー界の伝説となっているように、すばらしいギャンブラーのように思えた。ポーカーフェイスのシーンでは、緊張感が高まる場面ではあるが、そこでも父親の不適な表情の方がハックよりもインパクトがあった。ポーカー以外の賭けごと全般にハックは挑戦しているが、どれもいまいちのように感じられた。ハックのキャラ的な面白さよりも父親の方が何倍も存在感があった。

本作では最後にポーカーの大きな大会がある。カード一枚をめくる緊張感というのは確かに存在するが、そこにはゲームの勝ち負けしかない。人生を破滅させるような莫大な金をかけているのでもなければ、生命をかけているわけでもない。あくまでゲームとしてのポーカーという印象は消し去れない。そのため、全額をかけた勝負であっても、負けたら最後というしびれるような緊迫感が薄れてしまう。対戦相手たちも、軽い雰囲気でポーカーを続けている。ハックの大会にかける意気込みが違っていたとしても、それがあまり伝わってこなかった。

ポーカーの面白さは十分伝わってきたが、緊迫感は少なかった。



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