クローズZERO


 2010.9.13  原作とはまったく別物だ 【クローズZERO】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作漫画は読んだが、まったく別物といっていい。一部のキャラクターと設定だけを使い、完全オリジナルといっていいストーリーだ。ヤンキー漫画の典型であった原作の雰囲気そのままに、上質なヤンキー映画となっている。誰が鈴蘭を制覇するか。栄光を求めてワルガキたちは喧嘩にあけくれる。激しい喧嘩シーンばかりが続くので、ダメな人はダメかもしれない。わりとくだらないヤンキー漫画が好きだったので、本作も思った以上に楽しめた。芹沢多摩雄役の山田孝之が良い味をだしていたのと、ちょっと面白風味が入っていたのもよかった。映画としての深みはまったくないかもしれないが、単純でわかりやすいヤンキー映画としては秀作かもしれない。

■ストーリー

ワルガキたちが集まる鈴蘭男子高等学校では、多数の派閥がこの学校のトップになろうと抗争を繰り返していた。現在の最大勢力は3年生の芹沢多摩雄が率いる“芹沢軍団”だ。そんな中、不可能と言われている鈴蘭制覇を本気で狙う男・滝谷源治が転入してきて……。

■感想
原作と同じものを期待すると、イライラするだろう。登場人物がまったくの別人であり、ギャグの要素がほとんどなくなっている。リンダマンや鍵になる脇役たちはおなじみのメンバーだが、なんせ主役の雰囲気がまったく違うので、物語自体が完全に別物となっている。鈴蘭という舞台は同じでも、個人の戦いというより勢力としての戦いのようになっている。映画としての面白さを詰め込むために、ヒロインが登場したり、頭に不治の病を抱えた男が登場したり、喧嘩以外の要素は盛りだくさんだ。このあたりは原作にはないまったく新しいストーリーだ。

激しい喧嘩の描写が続く本作。このあたりは原作の荒々しさがよくでている。特に殴った後、人がゴロゴロと転がりながら吹っ飛んでいくシーンは、構図まで漫画とそっくりだった。本作のみどころの一つでもある喧嘩シーンだが、結局ボロボロになりながらも主人公は倒れることなくひたすら戦い続ける。アクション映画をずっと見ていると、アクションに飽きがくるように、喧嘩シーンばかりがこうも続くと途中で飽きてくる可能性もある。わりとヤンキー漫画が好きな自分でさえも、ちょっとやりすぎではないかと思えるほどだ。

どうやら2がすでに存在しているらしい。続編が作られたということは、それなりに評判がよかったのだろう。小栗旬の演技はともかくとして、山田孝之の演技はすばらしく、雰囲気も一人図抜けていたような気がした。原作と別物とはいえ、ヤンキー映画の基本はしっかりとおさえられており、キャラクターもそれなりに立っている。そこらに溢れている、原作に忠実なヤンキー映画に比べると、随分マシな気がした。しいて言うならば、原作の良さの一つでもあるユーモアの部分をもっと取り入れてほしかった。

ヤンキー漫画原作にしては、良いデキだと思う。



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