紅の豚


 2010.7.25  豚がかっこよく見える 【紅の豚】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
「飛べない豚はただの豚だ」というセリフが印象的な作品。あの渋い声とカッコいい立ち振る舞い。これが豚でなければどんなにカッコいいことか。というか、姿が豚ということでそのギャップが面白い。どんなにカッコいいセリフやしぐさをしても豚は豚。ただ、グラサンやヒゲなどが面白さを倍増させている。しかし、最初は面白かった風貌が最後には本当の意味でかっこよく見えるから不思議だ。人間ではなく豚だから自由気ままに動き回ることができる。なにものにも縛られない自由な豚というのは、大空を飛び立つ飛行艇にぴったりなのだろう。豚もおだてりゃ木に登る、ではないが、豚が空を飛ぶというのは言葉的には面白いが実物はかっこよく思えてしまうから不思議だ。

■ストーリー

イタリア・アドリア海で飛行艇に熱中する、4人の少年とひとりの少女がいた。彼らはともに大空をめざした。やがて少年たちは戦火の中に、ひとりは青い海に、もうひとりは荒野の果てに、それぞれ手の届かないはるか彼方へと消えていった。そして残されたのは少女と、ひとりの少年。その少年も自らに魔法をかけて、人間であることをやめた・・・。

■感想
なぜ豚なのかというのは最後まで疑問だったが…。登場人物たちのほとんどすべてがポルコという名前があるにも関わらず豚と呼んでいる。凄腕の賞金稼ぎなので、やっかみも含めてそう呼んでいるのかもしれないが、豚という響きは相手を侮蔑する意味も含まれているので、そのあたりが面白い。豚でありながらカッコいい。グラサンとヒゲそして、お洒落な風貌。ちょっと腹がぽってりしているあたりは豚らしいのだが、その立ち居振る舞いは渋い大人の男そのままだ。豚だが、相手を殺さずなにものにも縛られない自由な生き様。かっこよすぎる。

周りの女たちが自然と豚に恋するのも、最初は不思議だったが、なんとなくわかってきた。豚でありながら人間よりも人間らしい。ぶよぶよとした体つきと、四頭身ほどの体系。美女たちに言い寄られたとしても軽くいなし、あるときは顔を真っ赤にする。さすらいの飛行気乗りらしく、イタリアンワインが良く似合う。時代背景や飛行艇の扱いはよくわからないが、軍という巨大な組織には関わらず自由気ままに暮らすために豚になったような気がした。豚は人間ではないので、どうにでもなる。豚としての人生というのも面白そうだ。

凄腕の飛行艇乗りとしての豚。細かな部分に専門用語が使われており、それなりに臨場感ある飛行艇の戦いとなっている。大空を飛び回る感覚というのはジブリ作品はすばらしいと思う。広大な台地を自由気ままに飛び回る。ギスギスとしたスピード感ではなく、ゆったりとしながらも大きな空間を感じるような、まるで自分が飛行艇に乗り込み風を受けているような感覚になる。欲を言えば、ラストの戦いもしっかりと飛行艇でつけてほしかった。最後の最後は少し笑いに走ったが、トータルすると豚というキャラクター以外はものすごくマジメな作品となっている。

主役が豚というのが最後まできいている。



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