交渉人


 2010.3.25  ヒリつくような知能戦 【交渉人】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
交渉人たちの激しい知能戦。単純なアクション映画ではなく、ひりつくような心理戦が繰り広げられる。警察ビルに立てこもり自分の無実を訴えるローマン。しかし、ローマンの周辺にいるはずの黒幕の正体がわからない限り、ローマンに勝ち目はない。ローマンとセイビアンの激しい心理戦と、セイビアンと現場指揮官たちの主導権の握り合い。観衆は誰が黒幕であるかを想像し、セイビアンの巧みな話術に圧倒されてしまう。見ていると、ローマンを射殺するチャンスはいくらでもあるように思えたが、そこは物語を面白くするため、見なかったことにするとしよう。事件の黒幕は、定番どおりやはり驚くべき人物だった。結末はある程度予定調和的であるが、セイビアンらしい機転を利かせたものだったのは良かった。

■ストーリー

シカゴ警察No.1の人質交渉人ローマンは、ある日、何者かの罠にはめられ殺人と横領の罪に問われる。破滅を予感した彼は、警察ビルに人質をとり立てこもる。そして、もう一人のトップ交渉人クリス・セイビアンを交渉人に指名。セイビアンとローマンの極限の駆け引きが始まる。

■感想
交渉人としてどのような技術が必要で、定石として立てこもり犯に対してどう対処すべきか。交渉人というのが一般的ではない日本人にとって、未知の世界だが、面白さと緊迫感は十分に伝わってくる。特にセイビアンとローマンの激しいやりとりは、心理戦を越えて、何が嘘で何が真実かを観衆も油断していると騙されてしまう。そして、とても小さな伏線があちこちに張りめぐらされているために、それを見逃すのと見逃さないのとでは、その後の面白さが大きく変わってくる。一瞬も見逃せない、まるで立てこもり犯と対峙しているような緊張感をしいられる作品だ。

お決まりの激しいアクションで強行突破しようとする。このあたりは、一気に突破してしまえば、ローマンもろともすべてを排除できるように思えたのだが、それは決してやらない。いくらでもローマンを始末するチャンスがあるように見せておいて、やらない。事件の黒幕が明らかになりそうだが…、結局手がかりを失ってしまう。本作はこのギリギリ感が絶妙なため、観衆の心をひきつけて離さない。黒幕は一体誰なのか、そして、どうやってそれを暴くのか。セイビアンの視線がほんの少し動くだけで、何かおおきな仕掛けがあるのではないかと勝手に想像してしまう。

ラストの場面では、まさに交渉人の本領はっきというべきか。黒幕を前にして、どうやって事件の全容を明らかにさせるかをローマンとセイビアンが考える。この二人の視線をなぞる映像で、観衆たちは一体このあと何が起きるのか緊張感を保ちながら見ることとなる。結局は、わりとオーソドックスな手を使うのだが、やはり交渉人としてセイビアンが最後の最後にその力をはっきする。主役はローマンではなく、間違いなくセイビアンだろう。ローマンはなんだかちょっとした道化になっているような気がした。

ひりつくような緊張感はラストがピークだ。



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