きみの友だち 重松清


2008.9.16  リアルな小学生はどう思うのか 【きみの友だち】

                     
■ヒトコト感想
小学生から中学生までの様々な友だちを描く本作。それぞれの短編が繋がり長編となっている。短編ごとに主役である「きみ」は代わっていく。その中には当然自分が経験したことと似通った物語もでてくる。非常にリアルで苦しくなるような作品でありながら、最後にはすっきりと、すべてがまるくおさまるような流れとなっている。自分が小学生時代はどうだったのだろうか、あのクラスの女子たちは、こんな複雑なグループ闘争を繰り広げていたのだろうか。基本はイジメや思春期独特のプライドの話になるのだが、妙に懐かしく、そしてうなずける展開ばかりだ。どの年代でもイジメはある。ただ、この少年少女たちと同じような感覚は、このときしか感じることができないのだろう。

■ストーリー

友だち? 他人だよ、そんなの。でも特別な他人、大切な他人。嬉しいこと、つらいことがいっぱいあったから「友だち」の意味がわかった-。痛みや喪失を乗りこえ、少女たち、少年たちはやがて…

■感想
友だち?それとも親友?親友なんてことを当たり前のように口に出せたのは恐らく中学生までだろう。大人になればなるほど、気恥ずかしくなり、口に出せなくなる。もちろん、小学生のころから、テレがでてきて口に出せないことだってあるだろう。口には出さずとも心の中で思う気持ち。親友とはどんなものなのか。本作の恵美は盛んに親友という言葉を毛嫌いしているようだが、親友でなければ、いったいなんなのか、それは最後までわからなかった。

小学生や中学生だといっても、そこには立派な人間関係が構築されている。とても強固で一度壊れるとなかなか修復できないもの。この時期であれば、自分の世界は学校か家しかない。それもほぼ一日の大半を過ごす学校の人間関係がうまくいかなければ…、それはとても辛い毎日を送ることになる。大人になれば、実は逃げ道が沢山ある。自分の生活が必ずしも会社がすべてではないからだ。学校がすべてな小学生、中学生にとっての学校での人間関係はとても重要だ。それを本作からひしひしと感じ取ることができ、円滑に進めることの難しさも感じた。

はっきり言えば、自分の小学校、中学校時代にイジメられたり、イジメた経験はない。しかし、それらしい動きは周りで見たことはある。特に女子特有の難しさというのは、小学生であっても感じることができた。本作を読んで、まず一番に思い出したことは、小学生時代の周りの女の子たちが、本作のような状況にあったのかもしれないということだ。学校の先生がしきりに、”女子は難しい”とぼやいていたのをなんとなくだが覚えている。それほど本作のリアルさは真にせまっている。

できることなら、本作を今現在リアルタイムで小学生な子供たちに読ませたいものだ。いったいどんな感想をもつことだろうか。



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