2010.11.30 しびれるような名言の数々 【カイジ 人生逆転ゲーム】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
原作漫画を読んだことはあるが、本作はかなり駆け足な印象ばかりが残った。メインであるEカードまでいくためにはしょうがないのかもしれないが、あまりに早すぎる。カイジを読んだことがある者にとっては、限定ジャンケンなど、肝の部分が抜け落ちているような気がした。それ以外にも地下の強制労働におけるペリカの話や、鉄骨渡りなどストーリー的には変わっているが、カイジらしさはでている。原作漫画もそうだが、登場人物たちの名言がかなり強調されている。特に利根川の言葉は、理不尽なようだが真理をついている。この言葉と利根川の気迫によって、本作自体のデキがかなり水増しされている。全体的にはあっという間に終わったという印象だが、利根川だけは強烈なインパクトを残している。
■ストーリー
自堕落な日々を送るフリーターのカイジ…。特別な才能もなく、人生の目標もないどこにでも転がっている“負け組”。しかも友人の借金の保証人になったために多額の負債を抱えてしまう。そんなカイジの日常が、ある日突然、一変する。
■感想
原作漫画をまったく読んだことがない人には、カイジの雰囲気と面白さは伝わったことだろう。今まで自堕落な生活をしてきた男が大金を手にするためにはどのようなことをしなければならないか。ただ、様々な趣向をこらしたゲームの本来の面白さがどれだけ伝わったかは微妙だ。特に限定ジャンケンにいたっては、すべてのカードの残り枚数が表示されるという部分がなく、そのため、単純なジャンケンゲームとなっている。借金を返す目的や、大金を得るために騙し騙されの世界。カイジは少し甘いように感じられるが、このあたりは原作に忠実なのだろう。
本作はなんといっても登場人物たちの名言がポイントだ。カイジだけでなく、利根川やその他の登場人物たちが極限状態のときに口に出す言葉。作中で利根川の言葉に感化され熱狂したダメ人間たちのように、めちゃくちゃな言葉だが、心を揺さぶられる何かはある。大金を手に入れるために命を賭けるなんてバカなことだと思うが、利根川の言葉を聞くと、そうせざるお得なくなったのには、すべて自分に責任があるという流れに納得してしまう。本作を見て現在の負け組みたちが奮起するような作品ではないが、資本主義社会ゆえに金がすべてだという強烈なメッセージ性はある。
ある程度駆け足だが、カイジの要素は十分詰まっている。極めつけは最後のEカードだ。利根川との一騎打ちでは、原作とはまったく風貌が違う利根川であっても、その緊張感とすばらしい演技で、思わず見入ってしまう。Eカードの駆け引きでの、ひりつくような緊迫感。圧倒的有利なはずの皇帝側で利根川がどのような考えを持つのか。強烈なインパクトを放っていた利根川が変わっていく様は見所かもしれない。いつの間にか追い詰められていたはずのカイジが追い詰める側にまわる。人は吹っ切れると、とんでもないことをやり遂げてしまうのだろうか。
どうやら2が製作中らしい。本作のようにカイジらしさを保ってほしいものだ。
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