限りなく透明に近いブルー 村上龍


2009.3.10  詩的イメージとは? 【限りなく透明に近いブルー】

                     
■ヒトコト感想
ドラッグと乱交の物語。文学的にどれほど優れているとか、どれだけすばらしいかはよくわからない。単純に読んだ感想としては、最初はのめり込めたが後半になるにしたがって、なんだかよくわからなくなった。精神世界というか、異常な精神を表すような描写。これらが読んでいてほとんど理解できなかった。導入部から読者を引き込む力はすごいと思うが、最後まで読んで、結局何が言いたいのかよくわからなかった。現在の作者の作品しか知らない人にとっては、ちょっととっつきにくいかもしれない。一時代を築いた作品ではあるが、すでに似たような作品をいくつも発表している作者からすると、新しさも感じない。リアルタイムに読めばまた違った感想を持ったことだろう。

■ストーリー

福生の米軍基地に近い原色の街。いわゆるハウスを舞台に、日常的にくり返される麻薬とセックスの宴。陶酔を求めてうごめく若者、黒人、女たちの、もろくて哀しいきずな。スキャンダラスにみえる青春の、奥にひそむ深い亀裂を醒めた感性と詩的イメージとでみごとに描く鮮烈な文学。

■感想
序盤からいきなりドラッグや激しい乱交の描写が続く。恐らく作者の体験談も含まれているのだろう。リアルタイムに読んでいたとしたら、かなり衝撃をうけたことだろう。今読んでも、導入部から引き込まれるような力強さを感じることができる。作者の作品としては、すでに似たようなタイプの作品をいくつも読んでいるだけに、今更という思いはある。いわば作者の原点とも言うべき作品なのだろうが、そのインパクトは今の時代ではそこまでないのはしょうがないことなのだろう。

本作を読んで、頭の中に思い浮かべるイメージは、間違いなく汚い部屋だ。何をするにも汚い部屋の中。ドラッグやセックスも汚い部屋の中。あちこち登場するきたならしい表現は、何をアピールしたいのだろうか。描かれている内容と比較すると、詩的であったり、全体に漂う空気がとても静かだという評論もある。しかし、どうしても感じることは、その雑然とした部屋と、無秩序でその場の快楽だけをむさぼる男と女の姿でしかない。汚い水周りに、カビの生えかかった皿が放置されている。そんなイメージの部屋しか思い浮かばなかった。

純粋に文学的な評価がどうだとかはこの際どうだっていい。ただ読んだ感想としては、よくわからないというのが正直な感想だ。前半部分の流れから、後半は一気に様変わりし、どこか精神に異常をきたしたような描写ばかりが続く。その良さや意味がわからないのが駄目なら、そうなのだろう。純粋に読んで、深く考えずに楽しめるかどうか。それだけで評価すると少し微妙かもしれない。ストーリーとしても、結局なにがいいたいのかもよくわからなかった。当時として、この描写はインパクトがあったのかもしれないが、今ならばそれもなくなっている。

詩的イメージというのがどうにもよくわからなかった。



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