犬と私の10の約束


 2009.4.8  犬好きには必見だ 【犬と私の10の約束】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
犬好きか、もしくわ犬を飼ったことがある人。現在飼っている人は確実に泣けるだろう。そうでない人も、涙腺が緩む場面はある。なんでもない日常を犬という新たな家族を通して描いている。犬がいるということはどういうことなのか。どんな不便なことや、大変なことがあるのか。あくまで主役はあかりであり、ソックスは家族でしかない。しかし、重要な局面ではソックスなしでは語れなくなっている。犬を愛する全ての人に見てほしい作品だ。ラストの場面ではあきらかに泣かせようとしている。しかし、その場面よりも、少し前の弱りきって段差を登れないソックスというのに衝撃を受けた。瞬間的に見せる衰え。それを感じるときの悲しさは一番インパクトがあった。

■ストーリー

北海道・函館で暮らす14歳の少女・あかりの家に一匹の子犬がやってきた。前足の片足だけが靴下をはいたように白いゴールデン・レトリーバーに、あかりは”ソックス”と名付けた。母はあかりに、犬を飼うときには、犬と「10の約束」をしなければならないと教えてくれた。その約束を交わした瞬間から、あかりとソックスは一緒に大人への道を歩き始める。

■感想
はっきり言えば、ストーリーはたいしたことはない。なんでもないごく平凡な日常と言ってもいいだろう。しかし、そこに犬が入り込むことによって様々な変化が訪れる。犬を飼っている。または飼っていた人にとっては共感できる部分がとても多いのだろう。自分は犬を飼ったことがないので、傍観者として見るしかない。家族が一人増えれば、喜びもあれば、悲しみもある。犬との10の約束というのは、たとえ犬を飼ったことがなかったとして、心に響く何かがある。これは犬に限らず、何か生き物を飼うときには考えておくべきことなのだろう。

犬がいれば確かに変わるだろう。親が仕事で留守がちな子供の寂しさを紛らす役割も果たす。それと共に、否が応でも見るべき現実がある。寿命が人間と比べて短いために、どうしてもその最後には立ち会わなければならない。家族との死別は悲しい。それをわかっていながら、人はペットを飼う。10の約束を考えると、犬を飼うということに踏み切れなくなる。本作を見ると、前半から中盤に掛けては犬がいる生活も良いという印象が強くなる。しかし、後半は…。この悲しさを味わうのならば、最初からペットなんて飼わなければと思ってしまうのだ。

犬はいったいどんなことを考えているのだろうか。飼い主とじゃれあい、忠実につくし、死んでいく。犬を飼うということがどういうことか。ただ子犬が可愛いから買ったなんていう安易な気持ちでは絶対に駄目だということを思い知らされる作品だ。物語として家族との別れというのがある意味キーポイントとなっている。母親と犬。二つのポイントは泣けるのは確かだろう。しかし、死を泣かせる材料にするのは当たり前としても、ソックスの場合は別の泣きポイントがある。それは、歳をとり、弱ってきたソックスがちょっとした段差を超えられなかったときだ。これは犬を飼ったことがない人ほど衝撃を受けたことだろう。見た目の老いというよりも、行動としての老いはインパクトが大きい。

犬好きも、そうでない人も見るべき作品だ。



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