2010.1.12 マンネリ化の危険性 【反自殺クラブ-池袋ウェストゲートパーク5】
■ヒトコト感想
すでにおなじみとなった流れはそのまま、ただいつもよりどうなるか分からない?という思いはなかった。風俗スカウトやミュージシャンの話にしても、素直にまっすぐ進んでいるような感じだ。寄り道をせずシンプルだが、面白味には欠けるかもしれない。恐らく本作のメインである反自殺クラブにしても、今までのような強い印象を受けることはなかった。そのため、いつも以上に安易にサルに頼ったり、タカシとGボーイズ頼みにしている部分が気になった。それはそれで強気な相手が様変わりする様子は面白いのだが、こうも続くと、結局マコト自身には何も能力がないように思えてしまう。キャラクターの魅力が全てを引っ張っているのだが、そろそろ別の特徴がでてこないと辛い時期なのかもしれない。
■ストーリー
続発する集団自殺を、呼びかけるネットのクモ男、風俗スカウト事務所の集団レイプ事件、中国の死の工場を訴えるキャッチガール…ブクロのトラブルシューター・マコトが今日も事件解決に奔走!
■感想
風俗スカウトの話やキャッチガールの話など、結局は事件の黒幕的相手に対して、サルやGボーイズの力を借りて強引に決着をつけているような感じだ。確かに強い者に対して、最初はほとんど力のないマコトたちが、最後には相手がひれ伏すような行動を起こす。これはものすごく爽快だが、毎回このパターンだと「またいつもの結末か」と思ってしまう。結局マコトはサルやGボーイズとタカシがいなければ何の事件も解決できないような印象さえ持ってしまった。
そうは言っても物語として、常に旬なネタをテーマとしているのはすばらしい。ちょっと強引な部分はあるが、それでも陳腐化することを恐れず時流に乗るのはすごい。リアルタイムに読んでいたら、さらに強烈な印象をうけていたことだろう。反自殺クラブにしても、集団自殺が流行ったころのことだろう。自分が鮮明に覚えている事件や出来事などを、マコトが解決していくというのは臨場感溢れていて面白い。マコトのキャラクターがどんどんと知的になっているのも、楽しめる要素の一つかもしれない。
サルやGボーイズが一切活躍しない反自殺クラブ。他の作品と比べても異質だというのは分かる。一番強く印象に残っている作品でもある。ミステリー的にどのようなカラクリがあるのか、読んでいる間中ドキドキしていたが、特別なトリックはなかった。わりとオーソドックスで、黒幕であるはずのクモ男にあまりミステリアスな印象がなかったのが物足りないと感じた理由だろうか。マコトが反自殺クラブのメンバーと一緒に行動していながらも、マコト独特の何かがあるわけではなかった。相手の話を聞く力というのもちょっとピンとこなかった。
結局、なんだかんだ言ってもサルやタカシたちが登場した方がのめりこみやすいのだろう。
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