ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場


 2009.6.22  鬼軍曹のかっこよさ 【ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
だらけた小隊に鬼軍曹がおとずれ、鍛えなおして戦場で大活躍する。誰もが予想できるような展開だ。頭でっかちのエリート将校たちと対決しながら、実戦経験でつちかった自分の考えを行動にうつす。ハイウェーは典型的な鬼軍曹なのだろう。そんなハイウェーに最初は反発していたが、徐々に心酔していく部下たち。小隊長とロックスター以外のキャラクターがいまいちはっきりしないが、それでも十分に楽しめる作品となっている。特に面白いのは、全員のTシャツを揃えろというくだりだ。ハイウェーのTシャツと同じでなければダメだというあたり、軍隊の理不尽さを表現しているのだろう。愛すべきダメ海兵たちが、だんだんと一人前に育っていく姿を見るのも楽しいかもしれない。

■ストーリー

生涯を海兵隊に捧げてきた軍曹ハイウェーが、小隊指揮のために帰ってきた。だが彼の再役は、実際の戦場で活躍したことのないエリート将校たちにとっては、カンに触るものでしかなかった。しかもハイウェーの小隊は、ロックスターを夢見るステッチ、営倉生活の方が長いスエードなど、まさにハキダメそのもの。そんな彼らに戦う意味の何たるかを教え込もうとするハイウェー。はじめは彼に反感を抱いていた若い軍人達も、次第にその人柄に惚れ込むようになる。そんなある日、彼らにグラナダへの出動命令が!

■感想
古い作品であり、ある意味王道かもしれない。使い古されたようなネタであり、誰もが予想する展開へと流れていく。それでも面白い。当たり前のことをわかりやすく作品にしても、特徴はないと駄目だ。本作では、ハイウェー役をクリント・イーストウッドが演じたことに意味があるのだろう。歳を感じさせないまっすぐ伸びた背筋。怒りの表情が常に眉間の皺となって染み付いている。周りの若い海兵たちとならんでも、頭一つ飛びぬけているその高身長。すべてにおいて強烈な鬼軍曹的イメージをもっている。はまりすぎるほどはまっている。

実戦経験のない頭でっかちのエリート将校たちと対立するのも、またお決まりどおりだ。部下に厳しくするだけでなく、自分の行動には責任をもち、上司と対決する。その姿はかっこいい。胸にサンサンと輝く勲章の数々は見ていて目を奪われてしまう。ただの権力に反抗する軍曹というだけでなく、小隊長との関係はうまくいっている。この小隊長のキャラクターがあることで、ハイウェーの中にもそれなりに軍隊的な序列というものがあることを感じさせる流れとなっている。そして、この小隊長もハイウェーの実戦経験を尊敬しながら、かばい、そして責任をとろうとする。良い緩衝材的キャラクターだ。

軍隊モノらしく、最後は戦場へとおもむくことになる小隊。そこで、ハイウェーの真価がはっきされることになる。ここだけは、なんだか古臭い戦争映画のようで迫力に乏しく、現実感がなかった。どうも、戦争ヒーローものっぽく感じてしまった。絶対にハイウェーは死ぬことがなく、主要キャラクターたちも無事生き残る。ちょっとしたお遊びも含めつつ、ロックスターなどおちゃらけた兵士たちが、立派にその責任を果たす。ハイウェーの教育が間違っていなかったと思わせる場面だ。

最後はお決まりどおり、全てがまるくおさまるようになっている。あまりに定番すぎて、新鮮味はない。しかし、安心して楽しむことができる作品だ。



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