ハッピーフライト


 2010.2.23  飛行機を定刻に飛ばすのは大変だ 【ハッピーフライト】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
普段何気なく乗っている飛行機。安全に目的地へ到着させるためには、多くの人々が関わっている。普通ならばCAやパイロット、もしくは空港での係員くらいしか印象に残ることはない。本作では裏方的人々すべてにスポットを当て、飛行機を無事定刻に飛ばすためには、どれほどの苦労が必要かが描かれている。さらには、あってはいけないアクシデントが起きた場合にどうなるのか。ANAが監修しているということもあり、飛行機の安全神話を崩すものではない。どんな危機でもパイロットはその能力を発揮する。気難しい客や、様々なアクシデントを面白おかしくアレンジし、ドタバタコメディを描いている。主役であるはずの新人CAの存在感が薄いのが少し気になるが、航空業界の裏側が見えてとても興味深い作品となっている。

■ストーリー

航空業界の裏側を描いた群像コメディ。機長昇格を目指す副操縦士・鈴木和博や新人CA・斎藤悦子らが乗るホノルル行き1980便は、定刻通りに何とか離陸するのだが…。そこには気難しい乗客、悪天候、不運、それらがすべてかさなりドタバタが繰りひろげられる。はたして1980便は無事ホノルルへ到着することができるのだろうか。

■感想
ある意味未知の世界である航空業界の裏側。そこには様々な役割の人がおり、自分の役目をしっかりとはたしている。地上の係員はすべてのクレームの対処をしなければならず、CAはキャビン内で起こった出来事にすべて責任をとらなければならない。そのほか管制官や、整備員など、普段お目にかかることのない人々がどのような役割をはたしているのか。コメディ色が強いが、ちょっとした社会見学的印象も残している。特に印象に残っているのは、整備員たちのしっかりとした意識だ。道具が一つでもなくなれば、見つかるまで探し続ける。その徹底ぶりに驚かされた。

新人CAが本作の主役であるはずが、途中でその存在感が薄れてしまっている。活躍するのはOJT中のコパイロットとキャプテンだ。キャビンではチーフCAが大人の対応で騒ぐ客の対処をする。新人のドタバタ感が物語を楽しいものにしているが、それは最初だけだ。後半からは、トラブルが発生した1980便をどのようにして立て直すか。それは、管制官や整備員や、空港係員たちすべてを巻き込んでの大騒ぎとなる。そんな中でも冷静に対処するキャプテンというのは、飛行機を使うものにとっては頼もしく感じることだろう。

JALの問題が叫ばれている中、決してANAも景気がいいとはいえないだろう。しかし、本作のように航空業界の裏側を一般人に知ってもらうのは良いことだと思う。つまらないことでCAや地上係員たちにクレームを言っていた人は、本作を見て少し反省するかもしれない。定刻出発できないことにイラつくのではなく、安全に飛ぶための整備をしていると考え、冷静になれるかもしれない。実際にCAが本作を見たら、こんなのはありえないと思うかもしれない。ただ、一般人に浸透させるには、本作のようなパターンが一番良いのだろう。CAへの幻想は敗れるが、より現実的な目標となり、強い志を持った人がCAに応募してくるかもしれない。

知られざる世界を見ることは楽しい。



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