ハンサム★スーツ


 2010.3.17  ブサイクに夢と希望を 【ハンサム★スーツ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ブサイクがハンサムになれるスーツ。まるでブサイクな男全てを代表するような形の塚地。配役はすばらしく、キャラクターも申し分ない。塚地演じる琢郎がブサイクを嘆き叫ぶ場面では、まるで塚地の実体験のように真に迫った告白をする。もしかしたら、そこだけ琢郎ではなく塚地として叫んだのではないだろうか。ある程度先のわかる展開だが、ところどころに散りばめられたしょうもないギャグが面白い。つっこみどころは沢山あるが、そんなものを吹き飛ばす勢いがある。美人アルバイト役である北川景子がなんだかぼんやりとしたしゃべり方なのが気になったが、全体的にはすばらしい配役だろう。特に塚地とハンサム役として演じている谷原のぶっ壊れ具合も良かった。ブサイクに夢と希望?を与える作品だ。

■ストーリー

ハンサム(谷原章介)になれるスーツを手に入れたブサイク(塚地武雅)の運命は!?大木琢郎は母親の遺した定食屋“こころ屋”を経営する心優しいブサイク男。美人アルバイトの寛子ちゃんに恋するが、あっさり振られてしまう。ところがある日、琢郎は着るだけでハンサムになれるスーツを手に入れ、目の覚めるようなスーパーハンサム 光山杏仁(谷原章介)に大変身!これで寛子ちゃんにも好かれるはず、だったが……寛子ちゃんとの恋の行方はいかに?! 杏仁となった琢郎の驚きのハンサムライフが始まる!

■感想
着るだけでハンサムになれる魔法のスーツ。周りから気持ち悪がられる琢郎からハンサムな杏仁へと変身する。それにしても杏仁になったとたん、周りの女たちがあからさまな視線を投げかけ、ハンサムに見とれてしまう。ほんとにハンサムはこんな毎日をすごしているのだろうか。ハンサムになったことがないのでわからない。ブサイクとして配役された塚地も塚地なら、ハンサムとして配役され、それを演じきる谷原もすごいと思った。やりすぎだろうというハンサムの描写はあるにしても、それらが面白さを倍増させている。谷原の演技もすばらしいので、嫌味のない笑えるハンサムとなっているのが良い。

ストーリーの細かな穴をあれこれ言うつもりはないが、美人アルバイトの寛子が素の琢郎に好感をいだくあたり、あまりにも都合が良すぎるように感じられた。ブサイクに夢と希望を与える意味もあるのだろうが、叶わない夢を見させるのもどうかと思う。着るだけでハンサムになれるのなら、誰だって着たいだろう。定番的流れとして、人は見た目じゃないという説教じみた説明があるが、それを真に受ける人は少ないだろう。作中で琢郎が叫んだ言葉に真実がある。「ブサイクは中身を見る以前に、そのチャンスすら与えられない」。このあたりは塚地の実体験に基づいているのだろうか。やけにセリフが切実で、塚地本人の心の叫びのように聞こえてしょうがなかった。

本作をもし谷原以外のハンサムが演じたら、とんでもない駄作になっていただろう。コメディ要素が強くなければ、作品として成り立たない。シリアス路線にはなれないとして、本作のMVPは間違いなく谷原と、あともう一人は森三中の大島だ。ブスということで登場するのだが、そのブスっぷりもすばらしければ、心の綺麗さや健気なしぐさもすばらしい。ブスをまったく苦にしていないその表情は、演技とはいえ、実生活ですでに悟りを開いているようにすら思えてしまった。のちに登場する北川景子がなんだか、ものすごく薄っぺらく見えたのも、大島のキャラクターと雰囲気がすばらしいせいだろう。

先は予想できるが十分に楽しめる作品だ。



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