ハンコック


 2008.11.16  新しいヒーロー像か 【ハンコック】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
既存のヒーローの概念をあえて覆すように、極端なヒーロー像を描いた本作。確かに、スーパーヒーローが毎回すばらしい性格の持ち主だとは限らない。力を悪用しないまでも、市民のために正義のヒーローを気取るとは限らない。何千年も生き続け、孤独に生活するハンコック。すぐさま思ったのは収入源はなんなのだろうかということだ。疎まれながらのヒーロー活動で稼げるはずもなく、かといって、力を使って盗んでいるわけでもない。酒びたりな生活をおくる費用はどこから捻出したのだろうか。孤独なヒーローでありながら、ホームレス同様な生活。そして、皆に嫌われている。今までこんな扱いのヒーローはいただろうか。新しいヒーロー像でありならも、最後はお決まりどおりハッピーエンドなのは、ハリウッド的決まりごとなのだろう。

■ストーリー

超パワーで悪を退治し、街を守る男ジョン・ハンコック。<不死身>で何千年も生きている、地上でただ一人の存在だ。しかし、コントロールのきかない超人パワーのせいで事件解決の度に街を破壊、いつしか嫌われ者のヒーローになってしまう。でも本人は「そんなの関係ねぇ~」と、全く反省する気もなく、酒瓶を片手に酒臭い息を吐きながら市民に悪態をついている。・・・でも本当は孤独で寂しかった。なぜ自分だけ違うのか?そんな時に出会ったPR会社で働くレイとその家族がハンコックを変えていく。皆から愛される“真のヒーロー”になるべく、ハンコックの戦いが始まる!

■感想
スーパーヒーローものと言えば正体を隠すのが定番だが、ハンコックはそんなことをしない。まず、この点が既存のヒーローとは異なる部分だ。そして、正体がばれたらその体の秘密を探るために研究所でモルモットのような扱いを受けると言うのも定番なのだが、本作ではそれら定番が一切当てはまらない。ハンコックは自由気ままに生活し、警察や政府が一切手出しできない。飛びぬけた力がそうさせるのだろうが、これでヒーローとしての正体を隠す理由がまったくなくなったと言える。それゆえ別の弊害も本作では描かれている。

何か人助けをするにしても、周りに莫大な被害を与え、嫌われ者として報道されるハンコック。豪快なハンコックの性格と、周りの身勝手な言い分がいい具合に融合し、不自然さを感じない。ハンコックにしても少しの気遣いで、ずいぶん変わってくるはずだが、それはレイに出会うまで気づくことがない。ハンコックの強烈なまでの大活躍は、映像的にも、そうとうな爽快感がある。ハンコックが嫌われ者から愛されるヒーローに変わる過程も、何千年も生きていて、今までその機会が訪れなかったのか、それも気になってしまった。

ハンコック絡みの秘密が明らかになる後半。お決まりのパターンとしては、ハンコックと同等の力を持った悪役が登場するのだが、本作では最後まで登場しない。どのようにして、物語を盛り上げるか不安だったが、それらを解決し、さらにハンコックの正体が明らかになるようなお膳立てがされている。無敵のハンコックにどのようにしてピンチがおとづれるのか。本作でされている説明に、なんだか妙に納得してしまった。物語としてのインパクトはもしかしたら弱いのかもしれな。バットマンのようにシリーズ化も難しいだろう。しかし、作品単体としてはアメコミ風で十分楽しむことができた。

正確にはハンコックの正体は明らかになっていない。もしかして、地球外からハンコックのライバルが登場?なんて続編があるかもしれない。



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