2009.8.11 花嫁の父親はツライよ 【花嫁のパパ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
時代を感じさせる作品。留学から帰国した娘が突然婚約者を家につれてくる。父親としては微妙な心境なのだろう。相手が非の打ち所の無い好青年だけに、より、やりきれない思いがある。同じ男として、娘がいるわけではないのだが、なんとなく感じることができた。複雑な心境のまま家で行う結婚式の準備をする。昔のアメリカでは家で結婚式をすることがステータスだったのだろう。その準備はすさまじいもので、家が一軒建つほどの費用がかかるというのもうなずける展開だ。費用の心配をしつつ、離れていく娘に後ろ髪を引かれる思いがある父親。ほほえましくもあるが、同情心もわいてくる。これが父親の悲しいさがなのだろう。にやりと笑えて、思わず冷や汗をかいてしまった。
■ストーリー
ジョージ(スティーヴ・マーティン)とニーナ(ダイアン・キートン)の夫婦のもとへ、ローマに留学していた娘アニー(キンバリー・ウィリアムス)が帰ってきた。しかしアニーはいきなりローマで知り合った青年と結婚するという。かくして、ジョージの反対も空しく結婚式の段取りは着々と進められていくのだが…。
■感想
目に入れても痛くないほど可愛がっていた娘が、突然若くして結婚すると言い出した。同じ男としてこのジョージの気持ちはわからなくもない。大事に育てた娘が、どこの馬の骨とも知れない男に突然かすめ取られる。娘に対しては良い父親でいたいという思いから、寛大なふりをするジョージ。なんだかジョージの心の葛藤が手にとるようにわかる物語だ。父親とは逆に母親は純粋に娘の門出を祝っている。これはどこの家庭でも同じことなのだろう。父親の娘に対する気持ちは、通常では計り知れない、なにか大きな力が働いているような気がしてならなかった。
娘のために莫大な費用がかかるとわかっていながら、家での結婚式を決断するジョージ。時代的なものを感じさせる描写ではあるが、家で結婚式を行うことがその時代のステータスだったのだろう。結婚式のために家のあちこちに穴を開けたり、銀の食器を用意したり。新たに家が一軒建つほどの費用がかかるというのもうなずけることかもしれない。費用の心配をしつつ、娘のために精一杯のことをしてやりたい。そのジレンマは画面から十分につたわってきた。結婚式当日になると右往左往して裏方にまわるジョージの姿に、これが父親なんだと思わずにはいられなかった。
軽い感じのコメディなのだが、現実に娘を持つ父親だとしたら、のんびり見ていられないだろう。すぐさま頭の中ではシミュレーションが始まってしまうだろう。自分の娘が突然結婚すると言い、莫大な費用のかかる結婚式をしたいと言い出したら…。ふと思ったのは、これは自分の結婚式を行うときのジレンマと似ているのではないかということだ。奥さんはいろいろと注文をつけてくる。夫としては精一杯のことをやってあげたい。しかし、先立つものはない。なんだか、男という人種は、いつまでたっても結婚式という強烈な儀式から逃れられない運命にあるのだろう。
ぜひ、娘を持つ父親に見てほしい作品だ。
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