2009.10.30 2400キロを歩き続ける少女たち 【裸足の1500マイル】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
2400キロもの距離を幼い女の子たちが歩き続ける。それも、普通の舗装された道路ではなく、足場の悪い砂漠だったりもする。想像をぜっする環境であり、食べ物や水の問題を考えるとありえないことのように思えるが、これはすべて実話らしい。アボリジニ隔離政策によって母親と離れ離れにされた少女が、母の元に戻るため、途方も無い距離を歩き続ける。食べ物や飲み物は途中で盗んだり、恵んでもらったり。凄腕の追跡者から逃れるために、足跡を消しながらの逃亡劇。9週間も歩き続けるということが、どういうことなのか。普通の感覚では考えられないことだ。感動作というよりも、その過酷な状況と信じられないような火事場のバカ力に驚くばかりだ。
■ストーリー
オーストラリアの先住民・アボリジニを隔離しようとする政策に従い、アボリジニと白人の混血の少女3人が家族から引き離され、英語やキリスト教など白人としての教育を受ける。家族に会いたい彼女たちは、施設を抜け出し、1500マイル(2400キロ)もの道をひたすら歩き続けた。実話をもとに、オーストラリア出身のフィリップ・ノイスが監督したヒューマンな感動作。
■感想
1500マイルといわれて、ぱっとその距離が頭に浮かぶだろうか。作中では少女たちがたいした装備ももたずに、砂まみれの地を歩く描写が永遠に続いている。そこだけ見ると、せいぜい2,300キロかと思っていた。しかし、実際には2400キロにもおよぶらしい。そうなってくると話が違ってくる。そんな長い距離を歩いて足は大丈夫なのか、いくらなんでも無茶なのではないか。驚きなのは、これらがすべて実話だということだ。本作を見る前に実話だということは知っていた。しかし、これほど過酷な旅路だとは思いもよらなかった。
アボリジニ隔離政策。今となっては何故このようなことが必要だったのか理解に苦しむ。母親と引き離された少女たちが母の元に戻ろうとすると、すぐに追跡者によって捕まってしまう。この追跡者というのが鋭い眼光と、野性味あふれる探索方法で、凄腕を連想させている。ほんの些細な足跡や、手がかりから追跡を続ける。それを知りながら、必死で足跡を消し、追跡者から逃れようとする。この追跡者との攻防も、本作の見所の一つかもしれない。幼い少女が砂漠の中をひたすら歩き続ける。それだけでもすごいのに、追跡者をまこうとする。人の火事場のバカ力を認識させる姿だ。
少女たちは道中、心優しい人たちからの施しによって命をつなぐことができている。アボリジニ隔離政策にすべての人が賛成していたわけではないと思わせる描写だ。少女たちも、人々の助けなしには、決して広大な砂漠を歩き続けることはできなかったのだろう。地平線が蜃気楼でかすむ中をひたすら歩き続ける。体力のある大人の男であっても、気力が萎える風景だ。そんな景色を、まっすぐただ母親の元に帰るということだけを信じて、強い視線を向ける。この少女たちの意思の強さは、すべてを凌駕する力があるのだろう。
実話というのは、見終わったとき実感できた。
おしらせ
感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp