HACHI 約束の犬


 2010.9.15  アメリカに忠犬のイメージはない 【HACHI 約束の犬】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
上野のハチ公をリメイクしたようだが、終始違和感を持って見てしまった。リチャード・ギアが「ハチィー」と名を呼ぶシーンもなんだか変だ。主人に忠実な秋田犬と飼い主の心温まる物語のはずが、違和感ばかりが目に付いてしまう。まず、電車で通勤するアメリカ人というのもなじみがない。日本の通勤電車のイメージはない。そうなってくると、駅で待つハチの姿も不自然に見えてくる。ハチの巨体がウィルソン教授に飛びかかる姿はかなり強烈だが、秋田犬とアメリカ郊外の風景は似合わないと思った。物語は悲しみを感動に変えようとしているのだが、ウィルソン教授が死んだ後、周りの時間が止まることなく、動き続けている場面はしんみりときてしまった。

■ストーリー

アメリカ、郊外のベッドリッジ駅。寒い冬の夜、迷い犬になった秋田犬の子犬を偶然保護したパーカー・ウィルソン教授(リチャード・ギア)は、妻の反対を押し切り、その子犬を飼うことにする。首輪についていたタグに刻まれていた漢字から「ハチ」と名づけられた子犬は、パーカーのあふれるような愛情を受けてすくすくと成長していく。いつからか、夕方5時になると、ベッドリッジ駅で帰宅するパーカーを出迎えるのが日課となったハチ。一人と一匹の間に育まれた深い愛情と信頼は、ずっと続いていくと思われたが・・・。

■感想
ウィルソン教授とハチが戯れる姿は思わず顔がほころんでしまう。日本の秋田犬がリチャード・ギアに飛びかかり、思う存分動き回る。ハチがいったいどんな思いでウィルソン教授を駅へ迎えにいっていたのだろうか。飼い主と飼い犬の強い絆が、ウィルソン教授が倒れた後も、駅でひたすら待ちわびるという行動になるのだろうか。犬は飼い主に忠実になる。特に秋田犬は普通の犬に比べると、忠犬という印象がある。帰るはずのない主人を待つハチの姿は、何も知らないアメリカ人にとっては心打たれるものかもしれない。

日本の物語がベースになっているので、日本人は違った見方をしてしまう。上野のハチ公は駅にいると、周りの人たちから焼き鳥やなんだかんだとえさをもらえるのでずっと通い続けたという、身も蓋もない話がある。確かに何年も顔を見ていない主人にどれだけ忠実になれるのか。日本的な印象が強い忠犬というイメージ。アメリカでどれほど受け入れられたのだろうか。どうもドライな印象が強いアメリカでは、主人の帰りを待つ忠犬というのはマッチしないような気がした。逆にイメージがないだけに衝撃や感動も大きいのだろうか。

それにしても吹き替え版の声優がどうにも?だった。話題優先型だろうが、違和感ありまくりだ。ソフトバンクのCMで犬役をやっている北大路欣也と奥さん役の真矢みき。二人の違和感がトータルとしてHACHIという物語自体がアメリカ版ではなじまないように見えているのかもしれない。その他にも話題優先での声優が何人もいた。興行的な意味では重要なことだろうが、作品全体の評価としてはいただけない。まぁ、なんだかんだいって、日本で同じようなリメイク作品を撮ったとしても似たような雰囲気になるだろう。

この手のネタを映画化するのは難しい。何か革新的なアイデアがないと、古臭さが違和感を誘発している。



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