ゴスフォード・パーク


 2009.10.19  知られざる従者の生活 【ゴスフォード・パーク】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
貴族の晩餐会。貴族の生活というものは、よく映画作品として描かれている。本作はそんなありきたりな部分ではなく、従者に焦点を当てている。優雅な貴族たちの裏であくせくと働くだけの従者たち。今までは間違いなく、そんなイメージだっただろう。しかし、本作を見ることで、その見方も変わってくる。主人たちが食事をしている間、ひと段落ついたとき、従者たちだけで食事をする。粗末でありながらも、ミニ晩餐会のような様相だ。さらには従者同士のいさかいや、恋愛などもある。もちろん他の主人に目をつけられることも…。従者がメインということで、ありきたりな貴族のパーティにも一風変わった雰囲気がある。ある意味新しいかもしれない。

■ストーリー

イギリス郊外のカントリーハウス「ゴスフォード・パーク」のパーティに集まった貴族たちは、一見優雅だが、それぞれお金がらみの問題を抱えた人間ばかり。そのパーティの最中に、主催者マッコードル卿が殺された…。

■感想
貴族たちが集うパーティ。そこで起こる殺人事件。正直、殺人事件はとってつけたような印象をうけた。殺人事件があることで、従者たちの関係や、主従関係の真実が明らかとなるが、それでもメインは貴族たちのパーティの裏で主人に仕える従者たちの物語だ。普通の映画作品ならば、従者たちはただそこに存在し、主人の命令を忠実にこなす人形でしかない。しかし、実際には何かを思い、考えて行動している。本作ではそんな従者たちにスポットを当て、主人に仕えるだけでなく、当たり前のことだが一人間としてどのような生活をしているのか、それらが明らかとなる。従者たちの食事シーンなど、普通ではなかなかお目にかかれないシーンだ。

従者同士の関係も見所で、主人の地位がそのまま従者たちの人間関係にも影響するように思えた。従者と主人の関係もそうだが、他の主人に何かを言われても、そのままいうことを聞かなければならないのも従者の辛いところかもしれない。そんな従者の生活があますことなく語られ、従者は代々従者でしかないというように、れっきとした職業としてかなり地位があるようにも感じられた。貴族は遥か雲の上の存在で、普通の農民にとっては従者であっても、それなりに地位が高いのだろう。

中盤に、ある殺人事件が起こる。そこで、従者たちにも容疑がかけられることになる。従者がメインである本作にとって、従者たちの右往左往する場面や、主人たちの慌てぶりは見ていて面白い。ただ、この殺人事件の部分がそれほど重要かというとそうは思わなかった。従者にスポットが集まるという意味では良いのかもしれないが、それまでにしっかりと従者の生活が描かれていただけに、特別必要だとは思わなかった。物語のアクセントとはなったが、メインにはなりえないと感じた。

普通の映画ではスポットの当たらない従者たち。そんな従者の生活は非常に興味深いものだ。



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