g:mt グリニッジ・ミーン・タイム


 2009.7.1  現実を見た若者たち 【g:mt グリニッジ・ミーン・タイム】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
社会にでる若者が成功を夢見て生きる様を描く作品。現実的なのかそうではないのか。若者が夢に向かって進む姿は美しい。そこでぶつかる様々な壁。才能であったり金であったり、容姿であったり。様々な問題を含みつつも、本作の若者たちは前向きに進んでいく。ある事件が起きるまでは…。非常にショッキングだ。ある意味リアルなのかもしれない。一つのことがきっかけとして壊れていく世界。他人が持つものを羨み嫉妬する。人間として正常な行動なのだろう。一度壊れた関係はなかなか修復できない。夢に燃えた若者たちがどのように壊れていくのか。そして、どのようにして復活していくのか。全てがまるくおさまるラストではない。しかし、若者のパワーと熱い思いというのは感じることができる。安易な青春映画でないことは確かだ。

■ストーリー

ロンドン郊外のグリニッジを舞台に、高校生活に別れを告げ、社会に飛び出した4人の若者の成功と挫折を描くNEWジェネレーションムービー。愛を見つけ、SEXを知り、成功を夢見る彼らには明るい未来だけが見えていた時、突如襲った仲間のバイク事故…。

■感想
夢と希望にあふれる若者。仲間がバイク事故にあうまでは、ちょっとした諍いはあっても、なんとなくうまくいっていた。それが事故にあい、クビから下が不随となった仲間の姿を見ると…。いくら夢に燃えた若者たちとはいえ、厳しい現実が目の前に迫ってくると、夢や希望へ進む力が弱まってくる。しっかりとした絆で結ばれていた仲間たちとも、些細なことがきっかけで離れ離れとなる。若者にありがちな、ちょっとした女関係でのトラブル。なんだかものすごくリアルに感じた。グループの中でリーダー的存在の金持ちぼっちゃんが、リーダーシップがあるように見せて、実は全然ダメだというのもやけにリアルだ。

音楽の才能にあふれる仲間。それに嫉妬しつつも、支えあう仲間たち。それぞれの夢に向かう過程で、否が応でも立ちふさがる大きな壁。金であったり、才能であったり、運だったり。金があるものは才能を羨み、才能があるものは容姿や金を羨む。全てが完璧に備わった人などいるはずがない。若者たちの、夢に向かう力が、どうしてよいのかわからなくなったときに、おかしな方向へ向かう力となる。ひとたび挫折した仲間は、抜け出せないほどの深い穴へと落ちていく。きっかけはちょっとしたことだが、人生の岐路となる。厳しいようだが、これが現実なのだと思い知らされる作品だ。

普通の青春映画なら、最後は仲間全員が集まり、夢をかなえていくという希望にあふれた終わり方だろう。本作では、最初の仲間たちは半分以上欠けてしまっている。それでも、夢に向かうものは絶え間なく走り続け、夢を諦めたものは、身の丈に合った何かを探そうとする。残酷なまでに辛い現実を突きつけている。ラストの海の場面は、冒頭のはしゃぐ高校生とは思えないほど、顔つきが変わっている。これが大人になるということなのだろう。夢や希望だけでなく、リアルな現実を見てはじめて大人となる。そのとき、そのギャップに耐えることができるか、それが大人への第一歩なのだろう。

地味だが、終始目が離せない作品だ。



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