ファイヤーウォール


 2009.7.10  情報化社会の恐怖 【ファイヤーウォール】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ネット社会の危険性を表現している作品。まず驚いたのが、いくらセキュリティの専門家でシステムを設計したからといって、一人の力で銀行のオンラインから自由自在に金を引き出せるなんてことがあっていいのかということだ。虚構とわかっているが現実として、もしそうなら、一般人はまったく抗うすべがない。銀行のオンラインシステムは強固に守られており、外部から不正進入などありえないという前提でいるからだ。本作はそれを逆手にとり、どんな人であっても、ちょっとした情報があれば、オンラインカジノで借金が知らないうちにできたりもする。それにしても困難な状況に陥りながら家族を救出しようとするジャックはかっこいい。ぼろぼろになりながら、疲れた表情を見せるのも哀愁が漂っている。現実世界のセキュリティがこんなに簡単ではないことを祈りつつ見る作品だ。

■ストーリー

ランドロック・パシフィック銀行に勤めるコンピューター・セキュリティの専門家、ジャック・スタンフィールド。家族とともに幸せな人生を送る彼に、人生最大の危機が迫ろうとしていた。ジャックに目をつけた強盗グループが彼の家族を人質に取り、1億ドルを銀行から盗み出すよう指示してきたのだ。犯人グループの徹底した監視体制の下、ジャックは自らが構築した鉄壁のセキュリティ・システムに挑むことになる。果たして、彼は愛する家族の命を救い、強盗グループから出し抜くことができるだろうか。

■感想
銀行のオンラインから金を盗もうと考えた場合、設計者に行き着くのはよくあるパターンだ。しかし、設計者一人で自由にオンラインから金の出し入れができるなんてことがあるはずがない。荒唐無稽な話なのだが、ハリソン・フォードが真剣な表情でノートパソコンを操作していると、もしかしたらと思えてくるから不思議だ。軽い感じのネットオタクが、鼻歌交じりにパソコンを操作し、金を手に入れるのとは違う、どこか重みを感じてしまう。家族を愛する良き父親であり、仕事もできて人望も厚い。まさにパーフェクトだ。そんなジャックがボロボロになりながら、逃亡する姿もよかった。

ジャックを付けねらう犯人グループもよかった。ジャックの周辺を監視し、体中に監視の機器をとりつける。強固なセキュリティをほこるはずが、一度のっとられてしまうと、逆にそれがあだとなる。ジャックと犯人の巧妙なやりとり。特にジャックが犯人たちを出し抜こうとするが、結局犯人たちにばれてしまうあたり、犯人たちの強力さを物語っている。そんな一筋縄ではいかない犯人グループをどうやって打ち破るのか。家族を無事取り戻すことができるのか。観衆は絶対に家族は全員無事に戻ってくるとわかっているので、緊迫感はうすれてしまう。しかし、その過程を楽しむことはできる。

それにしても、ネット社会らしく、あらゆるところからネットにアクセスし、物語へとつなげている。ペットのGPSであったり、携帯から写真をとったり、ネットにアクセスしたり、そんなに高度な情報化社会なはずなのに、やけにアナログな部分もある。一番衝撃をうけたのは、間違いなく銀行のオンラインシステムから簡単に金を不正に出し入れできたということだ。足跡が残るにせよ、いちセキュリティ担当者がこうもあっさり不正ができてしまうこと事態に何か大きな問題があるのではないかと思えてしまう。ネット社会は便利だが、突き詰めると怖いことも多い。だとすれば、アナログに変えるというのもよいのではないだろうかと思えてしまった。

ハリソン・フォードは年をとってもそれなりにかっこよかった。



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