ディスタービア


 2008.12.9  覗きからの駆け引き 【ディスタービア】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
覗き見が事件の容疑者らしき人物を発見するまでが長い。ケールの素行不良具合と覗き見を趣味とするまでに至る経緯を語っているのだが、どうしても退屈なように感じてしまった。自宅謹慎で家から出られないという巧みな制約条件と、ご近所さんを覗き見るという不道徳行為。偶然発見した事件とつながりがあるように思わせる多数の証拠。最初は事件が二転三転するのかと思っていたが、拍子抜けするほどあっさりと、事件の真相が明らかになる。ただ、ミステリーの定番としてのハラハラドキドキ感や警察よ早く来てくれというようなスリリングな展開はすばらしい。特にラスト直前の怒涛の展開が今までの、のんびりした雰囲気を一気に取り払ってくれる。

■ストーリー

父の死が引き金となり、暴力事件を起こして自宅軟禁に処せられた高校生、ケール。自宅に閉じ込められ、許された行動範囲は、半径30m。退屈しのぎで始めた近所の覗き見がエスカレートし、あるとき隣人による殺人現場を目撃してしまう。「監視しているのは、君ばかりじゃない」双眼鏡越しに視線が交差したとき、殺人鬼との駆け引きが始まる。逃げ場のない絶望的な接近戦の果てにケールが見たものは!?

■感想
自宅謹慎から引きこもりとなり楽しみがないので、暇つぶしとして覗き見をはじめる。普段の生活を見ていると裕福なようで、何不自由ない生活を過ごしているようにも見える。いい大人が見ると、ただの甘えにしか見えない。そんなどうしようもないただの高校生が、後半になるにしたがってたくましくみえてくる。仲間を助けるために、後先考えずに行動する。覗きをしながらも、なぜかその行為にちょっとした誇りのようなものさえ見え隠れする。ずいぶんと甘ちゃんに思えたのは、後半の変貌ぶりを際立たせるためなのだろうか。

隣に引越してきた魅力的な女の子と友達三人で勝手に隣人を調査する。かなり行き過ぎた行動で、もしかしたらこれらは全てケールたちの思い過ごしで、最後には器の大きな大人に諭されて終わりなんてパターンもありえるかと思えるほど、隣人は殺人鬼である証拠を多数残している。観衆としてはまずどのように自分たちの予想外の展開になるのか、それを予想するのだが、裏の裏は表のように、深読みしたうえでの表を出したのだろうか。それとも最初から何も考えずに表を出しっぱなしにしていたのだろうか。謎なのだが、予想を裏切られたことにはかわりない。

ラストでの怒涛の展開。自宅謹慎のため足につけられた発信機をうまく使ってピンチを脱出するという結末を想像したが、これも違った。ある意味、ミステリーを見慣れている人が予想する展開をあえて外しているようにすら思える。定番を無視して、まっすぐ一本道を通り続ける。そんな感じだろうか。前半のなんだかぼんやりした、全体的に甘えた雰囲気と比べると、ラスト間近はキリリと引き締まって、十分スリリングな展開となっている。

どことなく、ラストの場面はかの名作、羊たちの沈黙を思わせる場面だった。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp