堕天使のパスポート


 2010.8.18  B級の香りただよう 【堕天使のパスポート】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
B級な雰囲気があちこちに漂う作品。娼婦が常宿とするホテルで起こる不可解な事件。冒頭、いきなり便器の中から心臓が出てきた時には、「これは意外に面白いかもしれない」と思った。独特な音楽と、怪しい雰囲気。猟奇殺人事件か、オカルト的な現象か。タイトルと相まって勝手な想像ばかりがドンドンと大きくなっていった。しかし、物語の中盤からあっさりと先の展開が読めはじめ、結末もある程度よめてしまった。結局なんてことない一本調子の映画だということに気付いた。ロマンティック・サスペンスという雰囲気よりも、あいまに登場するインパクトのある臓器の映像。物語が臓器関係なため、そのあたりのグロテスク映像ばかりが目に付いてしまう。不法入国者の現状を訴えるといった崇高なテーマを扱っているわけではない。

■ストーリー

「自由で希望に満ちた生活を…」という夢の実現のために強く生きる女性と、彼女を無償の愛で守りぬく男性の姿を描いたロマンティック・サスペンス

■感想
自由を手に入れるため、危険を承知で自分の体を傷つける。言ってしまえばこの一言ですべてが片付いてしまう。内容をまったく知らずタイトルだけのイメージでいくと、もしかしたらオカルト現象が絡んでくるのかと思っていたが、直球勝負だった。ホテルでフロントマンとして勤務する男が、なにやらいわく付きの不法入国者であり、そのほかにも同じような仲間たちが数多く存在する。そんな中、ホテルで見つかった心臓から不審な何かを感じ取る男。B級ホラーのようであり、サスペンスのようでもあり、微妙だ。

自由に生きるためにあらゆる手段を使おうとする女。不法入国者たちの辛い現実と、強烈なインパクトのある手術跡。ホテルを舞台としてはいるが、雰囲気は異様だ。ホテルのオーナーが自らフロントマンとして働くのも異様な感じがしたが、全体を通して陰鬱な雰囲気がすべてを覆い隠している。元医者という男が、しがないホテルのフロントマンとして生活する。恋人もなんだか訳ありらしく、物語を通して幸せな雰囲気を一切感じさせない暗い映像ばかりが続いている。堕天使というのは、このあたりの雰囲気をいっているのだろうか。

臓器を提供することで自由を手に入れる。そのことをはっきりと否定すべきではない。本作ではギブアンドテイクで、しっかりと条件を示しているので、本来なら何の問題もないはずだ。それがいつの間にか取引すること事態が極悪なことのように描かれている。そして、その結末として…。なんだか、ホテルのオーナーは随分と貧乏くじを引いたなぁという印象ばかりが残った。しっかりと取引が成立していたはずなのに、それらを反古にされたあげく、とんでもないオチとなる。物語としてはハッピーエンドかもしれないが、よく考えるとかなりおかしいことに気がつくだろう。

タイトルにごまかされてはダメだ。



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