チャーリー・ウィルソンズ・ウォー


 2009.2.18  911テロの原因か? 【チャーリー・ウィルソンズ・ウォー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
911テロがあったからこそ、本作が作られたのだろう。ソ連に対抗するためにアフガニスタンに武器を提供し、兵士を鍛え上げ、それがのちにテロへと繋がっていく。この時点ではまだそこまで予言できてはいないが、ラストにはもうしわけ程度にテロへの危険性を付け加えている。チャーリーがアフガニスタンの現状に気づき、やる気をだし、政治家としての手腕を発揮する。本作のみどころは政治家の仕事はすべて人間関係にあるということと、人との調整がすべてだということだ。チャーリーがテキパキと指示し、CIAのガストが動き回る。とんとん拍子にうまくいくプロジェクトは見ていてとても気持ちが良い。ただ、これはすべて戦争に対して指示をしているということを忘れてはならない。

■ストーリー

チャーリー・ウィルソンは、テキサス出身の下院議員。政治よりもどちらかと言えば美女とお酒に関心があり、大した政治手腕はないものの大らかな人柄でみんなから愛されている。そんな彼に、その後の人生を大きく変える転機が訪れる。それは、目にとまった戦場の映像。ソ連に攻め入られ、難民に溢れるアフガニスタンの悲しい現状を目の当たりした彼は、テキサスで6番目にお金持ちのセレブ・ジョアンヌ(ジュリア・ロバーツ)とCIAの変わり者ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)に後押しされながら、ひとり、小国を護るため一大プランを打ち立てる。

■感想
この手の作品は一面的でしかない。当然、それは多面的に見ると面白さが半減し、主張すべきことがぼやけてしまうからだ。チャーリーが主張することはある意味間違ってはいない。ただ、アフガニスタンを救うためにソ連のヘリを撃墜するということを盛んに叫んでいるが、普通ならばそれは間違いなのだろう。物語はそんなことよりも、宗教や国の伝統として対立している国々を使って、アメリカが関与していると世間に知られずにアフガニスタンを支援するのかに力を注いでいる。

変わり者のガストやセレブのジョアンヌ。チャーリーの周りにいる美人秘書たち。チャーリーの必死な姿と、周りの連携で、どのような対立構造や、難解な壁であっても乗り越えていく。その過程を楽しみながら見るべきだろう。当然なこととして、歴史的事実が頭に入っていた方がより楽しめるのだが、その反面、チャーリーの行動を無条件に楽しめず、しこりのようなものも残ってしまう。何の事前知識もなく、世界的な情勢もわからずに見れば。もしくはフィクションとして見れば、十分楽しめたことだろう。

ちょっと人を小バカにしたようなガストや、政治家っぽくないチャーリー。なんだかこの二人のおかげで作品が面白くなっているような気がした。そして、ラストにはこの二人で締めている。恐らく最後はとってつけたように付け加えたのだろう。現実にこのようなやり取りがあったとは思えない。これではまるで責任回避ではないか。最後までチャーリーを悪者にしないために、このような手段に出たのだろう。アフガニスタンを救うには学校が必要だ。ならば、最初から武器など供給せずにそうしていればよかったのだ。なんだか、最後はあまりに都合が良すぎるように感じてしまった。

最後は微妙なしこりが残るが、作品としては十分面白かった。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp