ブロークンフラワーズ


 2009.7.15  別れた女へ会いに行く 【ブロークンフラワーズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
別れた女に実は子供がいた。それも19歳になる子供だ。謎のピンクの手紙を手がかりに、ドン・ジョンストンは息子探しの旅にでる。昔の女に会いに行くのがどんな心境なのか、やったことがないからよくわからない。間違いなく、歓迎はされないだろう。静かな流れのなかで、一人たんたんと飛行機に乗り、車に乗って息子を探す。基本はこの繰り返しなのだが、別れた女たちの様々な対応の仕方でドンがどのような付き合いをしてきたかがわかってくる。ポーカーフェイスのドンがいったい何を考えているのかよくわからない。息子を探しだしたいのか、それとも繋がりを断ち切りたいのか。小さな花束を持って訪れるにはあまりに突然すぎるだろう。

■ストーリー

昔は、多くの女性と恋愛を楽しんだ元プレイボーイのドン・ジョンストンは、中年となった現在も勝手気ままな独身生活を送る。 そんなドンに恋人のシェリーも愛想を尽かし、ドンから出ていった。そこへ、差出人不明の謎のピンクの手紙が届く。便せんには"あなたと別れて20年、あなたの息子はもうすぐ19歳になります"と書かれていた。それを聞いた親友のウィンストンは、お節介にもドンが当時付き合っていた女性たちを訪ねて回る旅を段取りしてしまう。そして、気乗りのしないドンを強引に息子探しの旅へと送り出すのだった。

■感想
自由気ままでリッチな生活を送っているドン。そんなドンの元に、突然別れた女から息子がいるという電撃的な手紙を受け取る。衝撃的事実のはずが、それらが表情にでることはない。淡々としながらも、多少の同様はあるのだろう。おせっかいなウィンストンの口車に乗せられ、いつのまにか息子探しの旅にでることになる。リッチなドンは、あくまでそのことを見せずに昔の女に会いに行こうとする。女たちは、突然の来訪者にそれ相応の対応をする。それは当たり前のことだろう。どんなに辛くあたられても、ポーカーフェイスなドンに少し哀愁を感じてしまう。

差出人不明のピンクの手紙を探るのも本作のポイントの一つかもしれない。しかし、ピンクの便箋にピンクのタイプライターやピンクのバイクなど、ヒント的なものが多数登場するが、それらには何の意味もない。女たちの態度から、自分がどのように思われているかを想像するしかないドン。ずばりそのものをはっきりと聞き出すことができないのも、ドンの性格を現しているのかもしれない。ドンにどんな感情を持つのか。共感するのか、それともまったく理解できないのか。多少理解しようと努力したが、結局できなかった。つまり、ドンが何をやろうとしているのかよくわからなかった。

ラスト間近では、ドンの本当の姿が明らかになる。ドンは心の奥底では息子に会いたくて会いたくてしかたがなかったのだろう。すれ違う若者たちすべてを自分の息子だと錯覚する。ある程度年齢をかさね、社会的にも成功した男が最後に求めるのはいったい何なのか。それは、女ではなく、自分の分身である息子を求めるのかもしれない。終始冷静でボンヤリとした印象のドンが、最後だけは、人間らしい感情をあらわにしている。

最初から最後まで、ぼんやりと頭に霧がかかったような感じだ。



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