2010.1.20 意外な良作かもしれない 【ブラッド・ワーク】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
クリント・イーストウッド主演のミステリー。ミステリーとしてのできはすばらしく、ストーリーも良くできている。そして、主役をクリント・イーストウッドが演じることによって、キャラクター的な魅力も増している。いわゆるプロファイルものとは違い、主役のマッケーレブが足を使い、自分の勘を頼りに事件を解決していく。中盤である程度内容が想像できたのだが、コードキラーの正体については、まったく予想外の展開だった。驚きというよりも、よくできているなぁと感じた。主役以外にはとりたてて目立つようなキャラクターがなく、クリント・イーストウッドが主演でなければ、埋もれていた作品かもしれない。主演だけでなくストーリーもよくできていた。
■ストーリー
FBIの誇る凄腕プロファイラー、テリー・マッケーレブは、宿敵"コードキラー"を追跡中、心臓発作で倒れた。それから二年後。FBIを引退し、新しい心臓で新しい人生を歩み始めた彼の元に美しい女性が現れ、こう告げる---「妹を殺した犯人を探して欲しい。あなたが今生きているのは、妹が殺されたおかげなのだから」と。その単純に見えた殺人事件は、血も凍る戦慄への序章に過ぎなかった。
■感想
大ヒットミステリーの映画化ということで、さすがにストーリーはよく練りこまれている。凄腕プロファイラーであるマッケーレブを演じるのはクリント・イーストウッド。これだけで、ある程度客は呼べると思うが、内容もすばらしいものとなっている。いきなり2年前の事件から始まり、現在の事件を調査することになるマッケーレブ。最初は2年前の事件がまったく無意味なように感じられたが、それは後半にしっかりと生きてくる。計算されつくした展開で、コードキラーの不気味さもすばらしい。
クリント・イーストウッド以外に目立つ俳優がいないが、それでも完成度は高い。コードキラーの正体や、そこにいたるまでの流れ。何の関係もない2件の強盗事件が実はある目的のために、選ばれた被害者たちだったとう展開。猟奇殺人的なにおいをふりまきつつも、まっとうなミステリーとなっている。強盗事件の謎が解ければ本作は終わりかと思いきや、それからさらに別の段階へと進んでいくのは驚かされた部分だ。もちろん、コードキラーの正体が一番驚いたことにはちがいない。
細かな伏線が張り巡らされており、逆にそれに気付くとコードキラーの正体に気付くことはない。深読みしすぎると、絶対に気付かないパターンだ。マッケーレブが気ままに暮らす船上生活と、それを何かと助ける隣のバディ。二人のちょっとしたやり取りが、独特な雰囲気を作り上げている。時給制でバディが運転手をやったりベビーシッターをやる。男同士の付き合いというちょっとだらけた雰囲気が緊張感あるミステリーに潤いを与えている。それをふまえると、結末は最大の驚きとなるだろう。
知られていないが、意外な名作だと思う。
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