2009.12.8 ケヴィン・スペイシーは歌がうまい 【ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
実在したボビー・ダーリンをケヴィン・スペイシーが演じている。ボビーというのがどのような人物なのかまったく知らないが、本作を見るとその半生がなんとなくわかった気がした。歌に命をかけながらも、心のどこかでは寂しさを隠し持つ。アイドル女優と結婚しても、歌に対する情熱は冷めない。いつのまにか、ケヴィン・スペイシーが本物のボビー・ダーリンのように思えてしまった。仮にまったく違う容貌をしていたとしても、もうケヴィン・スペイシー以外は想像できないだろう。ちょっとしたミュージカルタッチが最初は気になったが、いつのまにかそれにも慣れてしまった。ボビーの人生はかなり山あり谷ありでありだ。本作を興味深く見ることができたのはケヴィン・スペイシーの力にほかならない。
■ストーリー
幼いころに心臓を病み、15歳までしか生きられないと診断されていたボビー(ケヴィン・スペイシー)は、音楽と出会い、その才能を開花。やがて『スプラッシュ・スプラッシュ』をヒットさせ、成功を収め、映画『九月になれば』で共演したアイドル女優サンドラ・ディー(ケイト・ボスワース)と結婚するが……。
■感想
それにしてもケヴィン・スペイシーはこんなにも歌がうまかったのか。それが本作でまず最初に気になった部分だ。ミュージカル風な本作。どちらかといえば苦手な部類だ。路上に集合し、そろって踊りだす。ストーリーにはなんら関係ないと思うと、余計に目に付いてしまう。ボビーの人生の半生を描いている本作。ミュージカル仕立てにする必要性は感じなかったが、そのおかげでケヴィン・スペイシーの歌のうまさが際立ったということなのだろう。序盤からだんだんとミュージカル調が落ち着いてきたので、それは救いだった。
ボビーのカツラネタはなかなか面白かった。それほどあからさまにわかるカツラではないが、作中ではしょっちゅう登場してくる。カツラをつけたスターというのも、なんだか違和感を持ってしまう。サンドラとの結婚にいたるまでのゴタゴタや、アカデミー賞関連のドタバタ。ハリウッドならではの雰囲気を存分に味わうことができる。ただ、晩年になるとサンドラがほとんど存在感をなくしている。ボビーにとっては、妻と子供というのは、もしかしたら、自分の母親よりは重要でなかったのかもしれない。
お決まりどおり、スターとして祭り上げられたかと思うと、落ちぶれたりもする。姉がある事実を告白する場面では、確かに衝撃的だった。しかし、このことがあるおかげで、ボビーが最後にすべてを許す場面では、言いようのない大きな感動が待っている。15歳までしか生きられないと宣告されたボビーが、歌を歌いスターになるまで。衝撃的で波乱万丈だが、スターになるには、それ相応の何か大きな影や試練が必要なのかもしれない。
ミュージカル調でなければ、もっとよかったのかもしれない。
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