ベッカムに恋して


 2009.12.12  親孝行か夢か 【ベッカムに恋して】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
てっきりサッカー映画かと思ったが、大きく違っていた。男女の性差や、人種による風習の違いによってやりたいことができない。石頭な親や親戚たちから反発し、女子サッカーを続けたいができない。そんなジェスのジレンマが痛いほど伝わってきた。心底サッカーが好きで親に反対されながらもサッカーチームに入るジェス。ジェスのサッカーに対する情熱と、親たちが右往左往する姿は見ていて面白い。さらには、変な誤解から事態は様々な方向へ動いていく。ジェスのチームメイトであるジュールズとの絡みも面白かった。ジュールズはジュールズで違った意味で親から束縛を受けている。本作は世間の束縛からはみだそうとする女の子たちが、どうやってそれらの障害を乗り越えていくかを面白おかしく描いている。

■ストーリー

ジェスは英国に住むインド一家の次女。サッカーが大好きでベッカムの大ファンである彼女は、女子サッカーチームの選手であるジュールズにチームに誘われ、所属することに。しかし、厳しい両親はそれを許さなかった。

■感想
英国に住むインド一家というのは、英国に住みながらもやけに保守的だ。女はこうあるべきだという強い願望があり、それに当てはまらないと、とたんにヒステリーを起こす。こんな状況ならば反発したくなるのもうなずける。しかし、本作のジェスは無理に反発しているのではなく、自分のやりたいようにやりたいことをやると、親の逆鱗に触れてしまう。本人は親の気持ちを知っているので、若干の後ろめたさはあるが、自分の欲望は抑えられない。なんだか、ジェスを見ていると、どんな困難な壁や外野の声が聞こえようと、夢に向かって突き進めば、いつかは叶うのではないかと思わせる何かがある。

ベッカムに憧れ、チームの監督に恋をしてしまうジェス。ダメだとわかっていながらやめられないのは、背徳の思いが気持ちを盛り上がらせるのだろうか。ジェスと共にジュールズも女子サッカーに熱をあげ、同じく監督に好意を示している。まさに三角関係の様相だが、それほど単純なものではない。恋愛映画のエッセンスは付け加えられているが、そこまで重要ではない。あるのは、やりたいことをやれずに苦しむ女の子たちの苦悩をちょっとコミカルに描いている。特に面白いのはジュールズの母親だ。その勘違いっぷりはすさまじいもので、かなりキャラ立ちしている。

ラストはジェスの苦悩と家族の理解によってすばらしい結末となっている。ある意味予定調和的だが、それもよかった。特にジェスの父親は自分が経験したことを教訓にして、娘を同じ目に合わせまいと思うが、娘の夢を叶えてやりたいと苦悩する。娘の真の理解者は、娘のことを尊重する父親なのだろう。ジェスのお姉さんの結婚式でのドタバタぶりや、ジェスの男友達がゲイとうい強烈なカミングアウト。ボーっとしてると見逃してしまうほど、わずかな隙に重要な何かがある。それも笑えるネタが多いのも特徴かもしれない。

言うことを聞かないジェスに悩む父親と母親は良い表情をしていた。



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