アンナと王様


 2009.5.8  王様がかっこよすぎる 【アンナと王様】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
モンクット国王が掛け値なしにかっこいい。一国の主でありながら、自分が間違っていると思えば素直に相手の意見を受け入れ、どのような場面であっても公平に判断する。国を第一に考え、国際社会に対応するためにイギリスから家庭教師を呼び寄せる。国の発展のためには、まず教育が一番必要だと考えるその先進的な考え方。アンナの強気な視線も良いが、それ以上に国王の器の大きさに圧倒されてしまう。英国人であるアンナがシャムの国王に対する態度と、その他の子供たちに対する態度。全てに不自然なことなく、納得させられる何かがある。ある程度、勧善懲悪的な流れになるのはわかりきっており、最後は容易に想像できる。この安心できる流れもこの作品の良い部分かもしれない。

■ストーリー

19世紀末、東南アジアの国シャム(現在のタイ)。モンクット国王は、王子達の家庭教師として英国人アンナを迎え入れた。西洋に育ったアンナは封建的な国王と何度も衝突するが、国を愛する王の心に打たれ徐々に絆を深めていく。その頃、隣国ビルマによって国境地帯が襲撃、その影には侵略を企む英国の影が!さらに国内で勃発したクーデターにより、王国に危機が迫る!

■感想
国王とアンナの関係が次第に変わっていく部分が本作の見所ならば、最初から最後までしっかりと自分の信念を貫き通したのがアンナで、器の大きさを示したのが国王なのだろう。最初は国王の権力と、まわりにいる従者や奥さんたちとの関係の違いをアピールし、にもかかわらずアンナだけが平然と国王に意見する。鼻っ柱の強そうなアンナの表情はジョディー・フォスターならではだろう。ちょっとやりすぎと思えるほどのアンナの進言にも、器の大きさで対応する国王。それは、晩餐会で英国人に侮辱されたとしても、平静を装う場面でもはっきりとわかる。アンナという異物を入れることで、国王の世界に大きな変化をもたらしたのだろう。

それにしても、シャム王国というのがこれほど先進的だとは思わなかった。この時代に外国人の家庭教師を呼びよせるなど、よっぽど国際的でなければやらないことだろう。自国の文化がどのように変化していくかという不安さえも、国際化の波には勝てないと考える。国を強く、そして豊かにするには教育が一番だという考え方も国王をかっこいいと思わせる要因なのだろう。絶対服従であるはずの軍隊の扱いに四苦八苦し、あくまで平和主義を貫き通そうとする。このパターンは、もしかして最後には自分を犠牲にしてでも国民を救おうとするパターンかなんて考えてしまった。

シャム国内で発生したクーデター。それによって国王は窮地に立たされる。そのとき、アンナや懇意にしていた英国人たちは…。クーデターも、もとをただせば国をよくするためにやることだ。クーデターを起こした将軍や、それを静めようとする国王。本作では全てにおいて国王が善でそれ以外が悪という図式のため、ありがちな結末となる。昔ながらのエンターテイメントとしての図式にのっとっており、最後は都合よく国王たちが勝つようにできている。ありきたりかもしれないが、安心して見ることができる。

何よりもまず、国王のかっこよさを見るべきだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp