相棒 -劇場版-


 2009.4.19  チェスで事件を複雑化 【相棒 -劇場版-】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
相棒シリーズは未見。それでも十分理解でき楽しめる作品だ。当然シリーズを見ていた方が楽しめるのは確かだが、基本が刑事モノなので事件が起きてそれを解決するというシンプルな流れは変わらない。それよりも気になったのは、この手の作品にありがちな猟奇的事件と、謎の暗号の類。途中から怪しいなぁとは思っていたが、やはりそうなってきた。チェスを使う類など、もう典型的だ。何か不思議でミステリアスで、事件を複雑化しようとチェスになぞらえて、様々なヒントをあちことにちりばめる。それを天才的頭脳で解いていく右京。犯人対右京の頭脳対決としたいところだが、途中で辟易してしまった。結局チェスなんてのは、どうでもよく、その裏に隠されていた事件の真相のほうがもっと興味を引かれる部分だった。どうせなら、もっとSファイルを事件に絡めてもよかったのではないだろうか。

■ストーリー

謎の連続殺人事件が発生。その現場には、不可解な記号が残されていた。警察組織を嘲笑うかのような、犯人からの予測不能な連続爆破予告。右京の推理と薫の行動力で犯人の狙いが「東京ビッグシティマラソン」だと判明したが、仕掛けられた罠は右京の推理を上回る巧妙さだった。右京たちは3万人のランナーと15万人の観客を救えるのか?そして、犯人の真の狙いは?

■感想
謎の事件が発生し、それを捜査する特命係。基本的に特命係の位置づけや、多数登場する脇役たちの役割をはっきり把握していないので、本来なら楽しめる部分でも、消化不良に終わっている箇所があるかもしれない。右京がどの程度有能で、上層部に対してどれだけ影響力があるのかもわからない。刑事部長たちには邪険に扱われながらも、官房長あたりとはコネがあるようで、そのあたりも釈然としないものがあった。特命係が他の刑事たちからも、煙たがられているように、少し異色なことには変わりないだろう。天才的頭脳を持つ特命係の右京と、肉体派のコンビ。役割分担がはっきりしているだけに、安心して見ることができる作品だ。

この手の作品にはどうしても事件を引っ張るために、不可解な謎と、連続殺人事件が必要なのだろう。最初はネット上のサイトで予告され、その次はチェスときた。そこまでは許せるとして、チェスから一気に「東京ビッグシティマラソン」にまで飛躍するのはどうだろうか。あまりに飛びすぎる。コース図とチェスの棋譜が同じだからというのも強引過ぎる。観衆を飽きさせないためには、次々とヒントを小出しにし、いくつか山を作る必要があることはわかる。しかし、チェスがどうたらなんていうのはちょっとあまりに現実離れしすぎてはいないだろうか。事件の背景が世相を反映しているようで良かっただけに、この部分だけが少し残念だった。

劇場版ということで、普段のシリーズとは豪華さが違うのだろう。マラソンの描写も盛り上げには必要で、どこが爆破されるかという緊迫感を演出するには必要なことなのだろう。明らかに現代の様々な事件や出来事をモチーフにした本作。それだけに、下手な結末にはできないというのもあるのだろう。それにしては、ラストは良かった。下手にチェスや猟奇殺人でどたばたさせるよりも、このSファイル関連で最初から引っ張ればよかったのではないだろうか。しかし、そうすると、山も谷も何も無い、ありきたりで平坦な作品だと思うのかもしれない。刑事モノで劇場版というのはやはり難しいのかなぁと思った。一時間が限界なのだろうか。

シリーズを見ていなくても十分楽しめるのは確かだ。



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