My Son あふれる想い


 2009.12.7  単純な親子愛ものではない 【My Son あふれる想い】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
単純な親子愛の物語ではない。15年間服役中の男がいきなり父親だと名乗ったところで、すんなり受け入れられるはずがない。わずか一日の短い時間にどこまで思いを伝えられるのか。最初はぎこちなくとも、しだいに打ち解けはじめ、最後には感動を引き起こす。定番的だが、ラストに大きなどんでん返しがある。まさか、そんなカラクリがあるとは思わなかった。顔もよく知らない父親とのぎこちなさにはしっかりとした理由があった。単純なお涙頂戴ものでは終わらない面白さがある。息子であるジュンソクの不自然さや、カラクリを成り立たせるための、ある意味、強引なやり方。多少違和感があるが、驚きですべてを吹き飛ばしてしまった。

■ストーリー

強盗殺人を犯し無期懲役の刑で15年間服役中の男カンシク(チャ・スンウォン)は、3歳の時に別れたきりの息子ジュンソクに会いたくて1日の帰休を申請し認められる。認知症の祖母の面倒を見る高校生の息子とのたった1日の再会・・・。

■感想
認知症の祖母の面倒をみながら生活するジュンソク。突然、服役中の父親が会いにきたからといって、素直に喜べるはずがないだろう。ジュンソクのそっけない態度は当然と思われた。物語は、ジュンソクとカンシクがぎこちないながらも、しだいに打ち解け、途中からはまるで親友のようなひと時をすごすことになる。不器用で自分の感情をうまく表現できないカンシク。ここだけ見ると、カンシクが強盗殺人を犯したようには見えない。しかし、心の奥底にある何かは視線に現れているのだろう。

ジュンソクがとても良い子だ。普通に考えれば、突然現れた父親に心を開くはずがない。いくら父親だと言っても、顔も覚えていない男を父親と認識するのは難しいだろう。本作のジュンソクは、戸惑いながらも、カンシクの心を受け止め、素直に心を開いている。これほど物分りの良い高校生が存在するだろうか?なんだか、かなりうそ臭く感じ、作り物っぽい感動物語に終始するのかと思っていた。しかし、それは最後の最後に良い方向へと裏切られることになる。まさか、そんなオチがあるとは思わなかった。そこにいたるまでの数々の伏線。まんまとしてやられたという感じだ。

単純な感動ものでは終わらない本作。最後のオチが衝撃だが、また別の疑問もわいてくる。オチを際立たせるために、かなり無理矢理な感じはある。ただの高校生がそこまでやるかという思いもある。しかし、そういった感想をすべて覆い隠してしまうほど、大きな衝撃だった。何も考えずに見ると、ジュンソクはけなげで可哀相な男の子に見える。それが、すべてのオチを見たあとには、なんだかたくましくもあり、頼りがいがある男という印象をもった。

単純な親子愛だけなら、駄作だっただろう。



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