Mr 3000


 2009.8.16  限りなく個人競技に近いチームプレイ 【Mr 3000】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
三千本安打を達成し、殿堂入りかと思われたスタン・ロスが、実は計算間違いだったと、記録がなくなるコメディ。恐らくだが、現実のメジャーにいる誰かをモデルにしているのだろう。三千本安打云々ではなく、スター選手独特のオーラと雰囲気で周りとなじむことがない。野球はチームスポーツだといっても、限りなく個人競技に近い。その特性からチームよりも自分の成績を重視することもできる。スタン・ロスが引退後に復帰し、そこからチーム優先に変わっていく様が見所かもしれない。当時の野茂を彷彿とさせるような日本人メジャーリーガーまで登場し、選手はバラエティに富んでいる。野球のルールを知らなければ楽しみは半減するが、メジャー独特のチームの雰囲気というのは十分味わうことができる。

■ストーリー

スタン・ロスは、落ち目のミルウォーキーブリュアーズで一塁手をつとめるベテランだったが、ペナントレース中にチームをやめてしまう。9年後、3000本安打達成という自分の輝かしい記録に実は3本足らないことを知り、記録を正すために選手として復帰をめざすスタン。現役時代の傲慢な性格がわざわいするスタンだが、昔の恋人(アンジェラ・バセット)はESPN(アメリカの最大のスポーツチャンネル)でスタンが復帰できるように援護する。

■感想
チームのスター選手であり、莫大な金を稼ぎ、実力もある。しかし、スター選手ゆえに唯我独尊となり、チームメイトとの仲はよろしくない。目標を達成してからあっさりと引退するスタン・ロスもすごい。チーム内で一緒に戦った仲間たちからも、嫌われているなど、相当なものだ。現実のメジャーのスター選手でも、バリー・ボンズなどチームでは孤立していると聞いたことがある。確かに、桁違いの金を稼ぎ、バッターボックスに立ってホームランを量産すれば役割を果たしたことになるのなら、チームメイトと問題があっても、可能かもしれない。

復帰後のスタンは天狗になっていたころの自分を反省し始める。若いスター選手をたしなめたりもする。復帰する前、自信満々だったスタンが、自分の衰えを感じると、とたんに良い人に様変わりしてしまった。人は現役バリバリで怖いものなしのときは、強気になれるのだろう。それがいったん落ちぶれ平凡やそれ以下になると、弱気になり、人に優しくなれるのだろう。ロートルが必死に頑張りながらどうにかして三千本安打を達成しようとする。ヒットの出ないスタンを、客寄せのために使い続けることはどうなのか。チームメイトや監督はいい迷惑だが、スタン自身が一番辛いのだと思った。

ラスト。スタンがとうとう最後の打席でヒットを打つかという場面。緊張の一瞬。ここで、お決まりどおり三千本安打を達成するのかと思いきや、スタンは意外な行動にでる。これはちょっと驚いたかもしれない。そうなる流れはできていたが、アメリカ的には最後にヒットを打っておめでとうと終わるのかと思っていた。野球をよく知っているものにとっては、実はスタンの行動はかなりバクチにちかいことなのだが、それが成功したことで、ちょっと感動が大きくなってしまった。予想外の出来事には大きなインパクトが伴うのだ。

コメディとしても楽しく、ラストは意外な形で終わったのがとても印象的だ。



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