デトロイト・メタル・シティ


 2010.2.11  お洒落な渋谷系は気持ち悪い 【デトロイト・メタル・シティ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
漫画原作ということもあり、映画も漫画っぽい演出がされている。演出の面白さはあるが、なにより一番インパクトがあるのは、やはり主人公である根岸のキャラクターだろう。デスメタルバンドのボーカルというキャラクターと、それと対比させるためにポップソングミュージシャンに憧れているというキャラクター。必要以上にナヨナヨとしたキャラに若干の気持ち悪さを感じるが、妙に笑えたりもする。その他にもバンドの社長や、淡い恋心をいだく女の子など、物語上でのキャラクターは申し分ない。ただ、漫画風味全開なので、ニヤニヤ笑いを飛び越えると、なんだかわけが分からなくなる。クラウザーと素の根岸。素の根岸の気持ち悪さのほうが、クラウザーのインパクトに勝っているような気がしてならない。

■ストーリー

お洒落な渋谷系ポップソングミュージシャンを夢見て上京した心優しき青年・根岸崇一は、なぜかデスメタルバンドのギターボーカル、ヨハネ・クラウザー2世として活動することになり…。

■感想
お洒落な渋谷系ということに関して、根岸は少しはき違えているように思えてならない。素の根岸の強烈なキャラクターのせいですべてが吹き飛んでいるような気がしてしょうがない。クラウザーのバンド仲間も強烈な個性を持っており、その中でも一番は社長だ。デスメタルバンドの追っかけたちも強烈なら、大学時代の友達までも、ちょっと気持ち悪いキャラとなっている。本作にはほとんどまともなキャラクターがでていないような、そんな気にさえなってくる。キャラクターの個性が強いので、もはやストーリーなどはどうでもよくなっている。

カツラとメイクでクラウザーに変身する根岸。変身したからといってすべてがクラウザーになりきるわけではなく、心の中ではクラウザーになることに嫌気が差している。クラウザーの姿形をしながらも、どこか素の根岸であったり。この変わり身での変化と、心の違和感が面白さを誘発している。クラウザーになりきる根岸の変身っぷりを見るのも面白いが、なんといっても一番は素の根岸の気持ち悪さだ。お洒落な渋谷系を少し勘違いしているような感すらある。単純にお姉系ともとれなくもない。最初にカジヒデキが登場したことで、この路線になっているのだろうか。

DMCの熱烈な追っかけたち。デスメタルバンドの激しさを面白おかしく描き、ファンまでも面白い状態になっていると表現する本作。漫画的な誇張が良い方向へと作用し、デスメタルのはちゃめちゃ加減がよくでている。さらには対決方式で、他のバンドと戦うのも、よくわからないが面白い。それにしても、デトロイトメタルシティの強烈なインパクトは最初に比べるとだんだん慣れてくるが、素の根岸の気持ち悪さは、結局最後まで慣れることはなかった。松山ケンイチの熱演のせいもあるだろうが、強烈すぎる。

なによりも素の根岸が一番インパクトがでかい。



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