9デイズ


 2009.9.26  キャラクターの面白さ 【9デイズ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
町のチンピラであった男が突然双子の兄の身代わりとしてCIAエージェントに成り代わろうとする。冒頭から濃いキャラクターで、9日間でCIAの基本を叩き込まれるあたりがとても面白い。飄々とした口調と上司と様々な口論をする。このアンソニー・ホプキンスとの掛け合いも最高に面白い。低予算映画風でありながらも、しっかりと面白さを保っている。それはすべてこのキャラクターにあるのだろう。どことなく全盛期のエディー・マーフィーを思わせる雰囲気すらある。小気味良いテンポ、そして明確な目的。それらがあることで、退屈な物語を熱中させる秘薬となる。たいして期待せずに見たというのもあるが、予想外に良かった。

■ストーリー

覆面捜査で核爆弾を買い取ろうとしていたCIAのエージェントがテロリストに射殺され、彼の双子の弟が身替わりスパイとして取り引きを任せられることに。兄の存在さえ知らず、ストリートで便利屋をしていた弟は、9日間でCIAの基本任務を叩きこまれる。

■感想
冒頭からなんだか癖のあるキャラクターが登場し、突然双子の兄のふりをしろと言われる。CIAのエージェントになりきるだけでなく、双子の兄が演じていた画商の役にもなりきらなければならない。二重の苦しみのはずが、文句を言いながらもしっかりとこなしてしまうあたりがすばらしい。危険な任務と知らされず、命を狙われる羽目になっても、常に軽口はかわらない。この軽い雰囲気と相対するようにボスであるアンソニー・ホプキンスは重厚な演技をする。二人の掛け合いが本作のメインなのかもしれない。

アタッシュケースに入った小型核爆弾。いかにも低予算映画らしく、お手軽にすましている。しかし、これはほとんど重要ではなく、大事なのは命を狙われ、あたふたしつつも、窮地を切り抜けるという流れなのだろう。べつに核爆弾ではなくても良い。それがただの書類であっても同じことだ。ただ、世界の命運をになっていると思わせるためだけに、小型核爆弾というのを使ったのだろう。CIAエージェントのふりをしていると、様々な女難に直面することになる。これが本作のキャラクターにぴったりなため、心地よく感じてしまうのだろう。

はっきりいえば、話題になるような作品ではない。アンソニー・ホプキンスくらいしか目玉がいないからだ。タイトルもなんだかとってつけたような感じで新鮮味もない。それでも見始めると冒頭から画面に釘付けになってしまう。脚本が特別すばらしいというわけでもない。この手の作品は沢山ある。それでも気になるのは、キャラクターが良いからだろう。すべてはこのキャラクターにかかっている。くだらない軽口も面白さを倍増させている。

予想外に良かった。



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