ゾディアック


2007.10.13 連続殺人事件の真実 【ゾディアック】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ゾディアック事件にどれだけ興味があるか、その度合いによって本作の評価はわかれることだろう。僕自身としては、ゾディアックという言葉は知っていたが、その細かな内容までは知らなかった。本作を見ることで、どのような事件で、その時代に大きな影響を及ぼしたというのはよくわかった。しかし、真実を究明するのが本作の目的としたら、結局その目的を果たせずにいる。事実に基づいて描かれている本作だからこそ、適当な結末を描くわけにはいかなかったのだろう。自分の中では好きな部類に入るはずの作品だが、犯人解明のくだりは、ちょっと冗長に感じてしまった。

■ストーリー

“ゾディアック”と名乗る連続殺人犯と、その事件の解決に挑む者たち。「殺人」と「真実の究明」という全く逆の立場にいる人間たちが、謎が謎を呼ぶ事件を巡り、次第にその運命を狂わされていく…。

■感想
連続殺人事件、暗号、謎の記号などミステリー好きの興味を引く材料にはこと欠かない。しかし、その材料で引っ張れるのは中盤までで、中盤以降は特別目新しい事実がでてくるわけでもなく、ただ、淡々と一人の漫画家が事件解明にやっきになる姿を見るしかない。何か特別驚くことや、ミステリアスな事実無しに事件のあらましを追うのはつらい。特に本作のように有名な事件であればあるほど、その内容を知っている人は多いだろうから。

真実に沿って描かれている本作。虚実織り交ぜ、映画的な演出を加えたミステリアスな展開を作ることも可能だったが、あえてきっちりと事実のみを語っている。作品全体のトーンはものすごく硬派で遊びがない。あるとすればゾディアックが被害者を殺害するシーンのみなのだろう。その部分はさすがに映画的手法をふんだんに盛り込んだ、とても興味深いものとなっている。

本作を見る人は果たして犯人の解明を求めているのだろうか。映画に事件の解決を求めるのか、それとも
事実とは違った解釈を求めるのか、もしくは事実をそのまま描いてほしいのか。僕の中でははっきりと犯人を解明してほしかった。それも独自の解釈を含めた見解を示してほしかった。少し古い話になるがJFKはそんな感じの作品だった。ある程度の結論を示して終わると、見終わった後の感想も随分変わることだろう。

かなり長い本作。最後まで集中して見るにはかなりの根気が必要なように感じた。



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